(※写真はイメージです/PIXTA)

今年こそ新NISAで投資を始めようという方も多いのではないでしょうか。本稿では金﨑定男氏とAIC税理士法人による著書『会社が教えてくれないサラリーマンの税金の基本』(日本能率協会マネジメントセンター)から一部を抜粋・再編集し、世帯年収1,400万円、30代Dさん夫婦(子供なし)を例に、NISAでの投資について解説します。

世帯年収1,400万円(自身は500万円)、31歳Dさん(女性・子供なし)の事例

Dさんは、現在年収500万円で子供はいません。Dさんの配偶者は年収900万円で夫婦合計の世帯所得は1,400万円です。Dさんは公務員、Dさんの配偶者は上場企業に勤務しており、収入も安定し、今後徐々に年収も増加する見込みであることから、NISAを使った投資を検討しています。

 

現在Dさんは約300万円、Dさんの配偶者は約500万円の株式(日本株)および、全世界株式に投資するタイプの投資信託を保有しており、大手ネット証券の特定口座で運用を行っています。

 

投資方針としては、2人とも比較的配当性向の高い経営の安定した日本企業の株式や、リスク分散の意味で全世界株式に投資する投資信託を購入し、一度購入したら長期で保有するという方針を持っており、短期で売却することは考えていません。したがって、毎年いくらかの配当収入があり、配当金額に対して約20%の源泉徴収をされ、源泉徴収後の配当を受け取っています。

 

昨年のDさんの源泉控除前の配当収入は年間7万円、Dさんの配偶者の源泉控除前の配当所得は14万円でした。現在の収入から考えて、Dさんは年間100万円程度、Dさんの配偶者は年間200万円程度、追加的に株式等に投資していくことができると考えています。

 

なお、DさんとDさんの配偶者は節税対策および老後の生活の安定のため、昨年iDeCoに加入し、積立可能な最高限度額を掛金として毎月支払っています。

Dさん夫婦への提案:NISAへの加入で節税効果を狙う

Dさん夫婦は、すでにiDeCoには加入済みであることから、まだ加入されていないと思われるNISAへの加入をお勧めします。すでに証券会社に口座をお持ちで株式投資をしていることから、NISA加入の簡単な手続きをするだけですぐにNISAを始めることができます。

 

NISAはiDeCoと比較すると、iDeCoのように掛金の金額を所得控除することができないため、節税効果が小さいと思われていますが、その代わりNISAは、株式や投資信託を売却したときに無税で現金を手に取ることができます(iDeCoの場合には、一時金もしくは年金として受け取ったときに、退職所得または雑所得として課税対象になります)。

 

iDeCoは、途中解約ができず60歳を過ぎないと積み立てたお金を受け取ることができませんが、NISAの場合には、緊急で現金が必要になった際には、株式等を売却して数日で現金化することができ、しかも現金化した際に税金はかかりません。

 

またNISAは、加入時および資金の拠出時の手数料がゼロ円なのに対し、iDeCoは拠出時に数千円、掛金の拠出時に数百円の手数料がかかります。運用期間中に発生した配当金等に税金がかからないのは、iDeCoもNISAも同様です。

 

現在制度化されているNISAでは、1年間につみたて投資枠として120万円まで、成長投資枠として240万円まで、合計年間360万円までの金額を投資することができます。毎年360万円投資し、投資残高が1,800万円になるまで投資することが可能です。

 

資産防衛策の一つとして、現金の代わりに株式や株式投資信託を持つことはインフレ対策の一つです。今後、長期的に年平均3%程度のインフレになると仮定し、株式投資による運用益も年3%程度になるという前提でシミュレーションを行ってみると、例えば、一時金として1,800万円を投資し、年率3%で25年間運用した場合には、25年後には資産は2倍以上に成長します。

 

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※本連載は金﨑定男氏とAIC税理士法人による著書『会社が教えてくれないサラリーマンの税金の基本』(日本能率協会マネジメントセンター)から一部を抜粋・再編集したものです。

会社が教えてくれないサラリーマンの税金の基本

会社が教えてくれないサラリーマンの税金の基本

金﨑 定男・AIC税理士法人

日本能率協会マネジメントセンター

【内容紹介】 「株価は上がれど給料は増えない……なのに増税ばっかりで嫌になる」 「NISAとかiDeCoとかふるさと納税とか、やりたいけどよくわからない」 毎年収めるため本来は身近なはずなのに、知らないことが多い税金。…

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