元気なうちにお金は使わなきゃね!減額を承知の上で年金を「繰上げ受給」した61歳会社員だが…心の奥底から消えない不安「これで本当によかったのか」

元気なうちにお金は使わなきゃね!減額を承知の上で年金を「繰上げ受給」した61歳会社員だが…心の奥底から消えない不安「これで本当によかったのか」

年金をいつもらうか、答えのない永遠のテーマともいえます。65歳で普通に受給するか、繰下げて増額した金額を受け取るか、繰上げて減額されつつも早く受け取るか……。繰下げのメリットが強調されがちですが、実際には繰下げを選択する人は非常に少ないのが現実です。とはいえ、繰上げは繰下げで減額以外のデメリットがあり、のちのち後悔するケースも。見ていきましょう。

「元気なうちにお金を使わなきゃ」→繰上げして大後悔も…

一方で、年金が大幅に減るという、わかりやすいデメリットがあるにも関わらず意外にも選択している人が多い繰上げ受給。

 

「収入が本当に少ない。身体が弱くてたくさんは働けないし、年金が減ったってもらわなければ60歳以降暮らしていけないんだよ」

 

このような理由で選ばざるを得ない人もいるでしょう。一方で、こんな人もいるようです。

 

「元気なうちにお金は使わなきゃ。家計に余裕もないし、減額を承知で繰上げ受給を決めて、受け取っていますよ。うちは代々、男は長生きしないから。後悔は…するかもしれないけど、この選択でよかったのかは、まだわからないです」

 

日本人の平均寿命は男性81.05歳、女性は87.09歳(厚生労働省「令和4年簡易生命表」)ですが、健康年齢はそれよりもずっと低いため、身体の動くうちにお金を有効活用したいというのは理解できます。

 

ただし、繰上げ受給には受給額減額以外にもデメリットがあります。まず、一度繰上げの手続きをしたら取り下げできず、減額された金額をもらい続けなければならないことです。

 

60代のうちは仕事の収入でカバーできても、70代、80代ではそうはいかないかもしれません。その期間も減額された年金額が続きます。

 

手続きをしたときは「長生きしないから」「今を楽しみたいから」と思って繰上げをしたものの、あとから65歳で普通に受け取ればよかったと思っても、取り消しはできません。

 

また、障害基礎年金も受け取れなくなります。障害基礎年金額は1級が102万円、2級が81万6,000円(令和6年度)です。2級は老齢基礎年金と同額で、1級は1.25倍になります。繰上げをした場合、とうぜん老齢基礎年金も減額になりますので、1級の障害状態に該当した場合は、その差はとても大きくなります。

 

また、寡婦年金といった年金の受給権もなくなりますし、65歳までは配偶者に万一のことがあったときの遺族年金も同時受給できず、どちらかを選ぶことになります。

 

「やっぱり65歳から受け取るのが一番じゃないですか?」

 

そう思っても、65歳になる前に万が一のことがあったら…。『繰上げて後悔するのはこの世、繰下げて後悔するのはあの世』という格言がありますが、65歳時の受け取りも含めて、どれを選択するのか、そして結果としてそれが良かったのか、悪かったのかは後にならなければわかりません。

 

自分の資産状況、老後のプラン、健康状態……さまざまなことを考えて、ベストな選択をするしかありません。繰上げ・繰下げは人によって条件が複雑に絡み合うので、年金事務所やお金のプロに相談するなどして、慎重に決めることをおすすめします。

 

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