(※写真はイメージです/PIXTA)

長年、別居状態にあり事実上夫婦関係が破綻しているあいだに配偶者の一方が亡くなってしまうことがあります。その場合の相続では、亡くなった配偶者の親族とトラブルになるケースが少なくありません。本記事では、渡部さん(仮名)の事例とともに、婚姻関係と相続トラブルについてFP相談ねっと・認定FPの小川洋平氏が解説します。

家と現預金2,000万円の遺産分割

今回のケースの場合、哲也さんと幸さんには子供がいないため、法定相続人は幸さんと義姉である明美さんの2人のみです。法定相続分では、幸さんが4分の3、明美さんが4分の1を相続することになります。また、生命保険金は「受取人固有の財産」としてみなされ、遺産分割の対象からは除外されます。受取人の名義は別居前から変更しておらず、幸さんのままになっていました。

 

そのため、自宅建物、土地(資産価値は1,000万円程度)と、現預金2,000万円が遺産分割の対象となり、法定相続分どおりにわけるとなると、遺産2,250万円分を幸さんが相続し、明美さんは750万円分を受け取ることができ、生命保険金1,000万円については全額が幸さんのものになります。

 

妻と義姉、それぞれの事情

しかし、20年ものあいだ弟と関わらず、事実上夫婦とはいえ、幸さんが財産を相続することに明美さんは納得がいきません。まして、家と土地は明美さんや哲也さんが幼少のころから過ごしてきた家族との思い出の詰まった家。それを渡すことは決して許せなかったのです。

 

一方で、幸さんにとっても事情があります。30代後半で遅めの結婚をした幸さんは、当初、子供がほしいと強く望んでいました。哲也さんは子供の話題を結婚前にうやむやにしていましたが、結婚後に子供を持つ気がないことを正式に意思表明。何度も話し合いを重ね、幸さんは懸命に夫の説得を試みましたが、結局哲也さんの考えが変わることはなく、数年が経過してしまったという過去があります。さらに、残業で遅い時間に帰宅しても家事もすべて自分が行い、対等なパートナーではなく、家政婦のように扱われていたことを忘れていません。同居していたころのことを思い出すと、放棄するなど考えられなかったのです。

 

幸さんからの提案は、実家は姉の明美さんに渡してもいい、預金は自分が相続するという提案でしたが、姉の明美さんは預金も自分が相続すること、幸さんが受取人となっている保険金も自分に渡すことを頑なに譲りません。こうして双方の感情がぶつかり合い「争族」になってしまったのでした。

 

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