FIRE後の「虚しさ」を解消する方法とは
FIRE後の虚しさ
なんとも言えない気分で、目を覚ました。小鉄はソファに座って僕を見つめている。
理想と思っていた生活が、ほんの数年で、空虚に感じてしまう。もちろん、今みたいにいやいや会社に行く日々よりはいい。でも、たしかにそれは夢見ていた「理想の生活」とは言えないような気がした。
「智也さん、彼の生活を見てどう思いましたか?」
「う~ん、難しいね。みんながみんなこうなるって話ではないと思うけれど……」
「いえ、多くの人がこうなりますよ。他の事例もご覧になりますか? ご覧になりますよね」
返事をする前に、小鉄のおでこが激突した。
──このあと、何人かFIRE達成者のパターンを見せてもらった。誰もがはじめは楽しむものの、数年後には大なり小なり空虚な気持ちを感じていた。
度重なる様々な人生の映像にクラクラする。
「どうでしょう? 〝人生をクリアした〟と言っても差し支えない彼らですが、何か物足りなさを感じているようです。彼らに何が足りなかったのか、わかりましたか?」
小鉄が改めて聞いてきたけれど、はっきり言って全然わからない。僕が目指している理想の世界がそこにあるのに、彼らは皆幸福感を維持できずにいる。
もしかしたら、自分がFIREを実現できても、同じように思ってしまうかもしれない。そんなふうに悩んでいると、大きくアクビをした小鉄が言った。
「足りなかったものは、例えば〝社会とのつながり〟〝目的や目標〟〝日常の刺激〟〝自己実現感〟。これらは、必ず付きまとってくる問題です」
「全部、お金と時間だけあっても解決できないことかもしれないね」
「でも、これらをまとめて解決できる方法があるんです」
「え、それすごいじゃん! 教えて!」
「仕事ですよ」
株式会社HF 代表取締役
ヒトデ
※本記事は『1万回生きたネコが教えてくれた 幸せなFIRE』(徳間書店)の一部を抜粋し、THE GOLD ONLINE編集部が本文を一部改変しております。