財産分与請求には時効がある
敏夫さんは恵子さんと話し合い、全て2分の1ずつ分け合うことで話がまとまりましたが、中には話がまとまらないケースもあります。ただ、家庭裁判所の処分も2分の1となるケースが多く※3、夫婦平等にという考えがあるようです。そして、年金分割によって変動する額は月3万円程度というデータもあります。
月3万円でも年間に換算すると36万円。長い目でみるとまとまった金額になります。
敏夫さんが早くから資産形成に取り組んでいたのは、老後は恵子さんと2人でゆとりのある生活ができるようにと考えていたからこそ。しかし、その夢はかないませんでした。両親の亡き後は相続した家で1人で暮らすことになります。それを考えると、がむしゃらに働いた自分の人生は何だったんだろうと寂しく感じることも……。
2人の子どものうち1人は結婚し、東京に住んでいます。今の敏夫さんの楽しみは、年に数回、孫の顔を見に行くことです。
婚姻期間が長ければ長いほど、財産分与の対象となる金額も大きくなります。熟年離婚を防ぐためにも、日頃から夫婦でコミュニケーションを取っておくことも大切かもしれません。
民法の改正により財産分与請求の時効が5年に延長!?
2024年5月に国会にて民法の一部改正が可決されたことから、今後離婚における財産分与請求の時効が5年に延長されることが決まっています。具体的な時期はまだ発表されていませんが、おそらく2026年までには施行されることになっています。
もちろん適用されるのは施行後に離婚した場合に限られますが、これからリタイア後の生活を考えている方は注意しておく必要があるでしょう。
■参考サイト
※1:「熟年離婚」の割合が過去最高に長寿社会、役職定年も背景に:朝日新聞デジタル(asahi.com)
※2: 民法|e-Gov法令検索(768条)
※3: gaiyou_r03.pdf(mhlw.go.jp)(29ページ)
新井智美
トータルマネーコンサルタント
CFP
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