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身内が亡くなるとあらゆる手続きに追われることになりますが、相続に関する手続きも忘れてはいけません。手続きによって期限がそれぞれ違うため、遅れないように注意しましょう。本記事では、遺産相続に関する9つの手続きについて、必要な書類や注意点を税理士が解説します。

1年以内…遺留分侵害額の請求

遺留分とは、相続人が最低限引き継ぐことができる遺産の割合のことです。亡くなった人が扶養していた相続人の生活保障や、亡くなった人の財産形成に対する相続人の貢献などを考慮して定められています。したがって、亡くなった人の配偶者、子、両親には遺留分がありますが、兄弟姉妹にはありません。

 

遺言のとおりに遺産分割をした結果、遺留分を下回る遺産しか受け取れなかった相続人は、不足している部分をほかの相続人に対して請求することができます。これを遺留分侵害額の請求といいます。

 

遺留分侵害額の請求ができる期限は、相続の発生および遺留分を下回る遺産しか受け取っていないことを知ったときから1年以内です。相続の発生から10年を経過した場合は、遺留分侵害額の請求はできません。

 

遺留分侵害額の請求は、裁判所などに届け出るのではなく、まずは当事者どうしで話し合うことになります。もし、話し合いがまとまらなければ、家庭裁判所に調停を申し立てることができます。

2年以内…埋葬料・葬祭費の請求

健康保険から支給される埋葬料・葬祭費は、亡くなった人が加入していた制度によって手続きが異なります。

 

健康保険

健康保険(被用者保険)に加入していた人が亡くなったときは、埋葬を行った同一生計の家族に埋葬料が支給されます。同一生計の家族がいないときは、埋葬を行った人に埋葬費として実費(上限あり)が支給されます。扶養家族が亡くなったときは、健康保険の加入者に家族埋葬料が支給されます。亡くなった日から2年以内(埋葬費は埋葬を行った日から2年以内)に、勤務先または健康保険組合などに届け出ます。

 

国民健康保険・後期高齢者医療制度

国民健康保険と後期高齢者医療制度に加入していた人が亡くなれば、葬祭費が支給されます。葬祭を行った日から2年以内に市区町村役場で手続きをします。

3年以内…生命保険(死亡保険)の生命保険会社への請求

生命保険の死亡保険金の請求は、亡くなった日の翌日から3年以内に、加入している保険会社に連絡します。保険金の請求に必要な書類は次のとおりです。これら以外に書類が必要な場合もあるので、加入している保険会社に確認してください。

 

・保険会社所定の書類

・保険証券

・死亡診断書

・被保険者の死亡記載のある住民票

・請求する人の本人確認書類

 

亡くなった人が生命保険に加入していたことを知らずに、保険金の請求が漏れているケースが多いようです。遺品整理をしていて保険会社からの郵便物などが見つかれば、念のため保険会社に加入状況を確認することをおすすめします。

3年以内…不動産の相続登記(2024年4月1日~)

亡くなった人が土地や建物など不動産を所有していた場合は、不動産の相続登記をする必要があります。これまで、相続登記には期限が定められていませんでしたが、2024年4月1日から相続登記に3年の期限が設けられます。

 

不動産を相続した人は、相続したことを知った日から3年以内に相続登記の申請をしなければなりません。2024年3月31日以前に相続した不動産も相続登記が義務づけられることになり、まだ相続登記していない場合は2027年3月31日までに申請しなければなりません。

 

相続登記は、不動産がある場所を管轄する法務局で行います。相続登記に必要な書類は次のとおりです。

 

・相続登記申請書

・亡くなった人の出生から死亡までの戸籍謄本

・相続人全員の戸籍謄本または抄本

・相続関係説明図

・固定資産評価証明書または固定資産税課税明細書(登録免許税の計算に使用)

・不動産を相続する人の住民票

・(遺言書がある場合)遺言書(コピーでも可)

・(検認が必要な遺言書の場合)検認済証明書

・(遺言執行者がいる場合)遺言執行者の印鑑証明書

・(遺産分割協議をした場合)遺産分割協議書の写しと相続人全員の印鑑証明書

 

期限にかかわらず、相続登記をしないで不動産の名義を亡くなった人のままにしておくことは、予期せぬトラブルの原因となります。早めに手続きを済ませましょう。

 

なお、遺産分割協議がまとまらないなど期限内に相続登記ができない場合は、自分が相続人であることを申し出る「相続人申告登記」をすれば、相続登記の義務を果たしたことになります。

 

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本連載は、税理士法人チェスターが運営する「税理士が教える相続税の知識」内の記事を転載・再編集したものです。

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