記憶に新しい「地元中学生の出禁」…いまだに〈迷惑客〉との戦いを繰り広げるマクドナルド、1990年代後半に低価格戦略に走ったマクドナルドの大きすぎた〈代償〉とは?

記憶に新しい「地元中学生の出禁」…いまだに〈迷惑客〉との戦いを繰り広げるマクドナルド、1990年代後半に低価格戦略に走ったマクドナルドの大きすぎた〈代償〉とは?

1990年代後半から2010年代にかけて低価格戦略を打ったマクドナルドですが、値下げによってある誤算が生じました。低価格戦略が引き起こす問題点とは? 心理学者の越智啓太氏は著書『買い物の科学:消費者行動と広告をめぐる心理学』(実務教育出版)から一部を抜粋・再編集して解説します。

ブランドイメージと商品カテゴリーイメージの低下

値下げのもうひとつの問題点として、ブランドイメージの低下が挙げられます。本書の最初でも述べましたが、実際には多くの消費者は、商品の品質を正しく把握する能力を持っていないか、判断するつもりがありません。

 

その代わりに彼らは、その商品の品質を、価格を使ってヒューリスティクス(ある程度正解に近い解を見つけ出すための経験則や発見方法)で判断しています。もし安く販売してしまうと、実際には品質の良い商品であっても、ネガティブなイメージが付いてしまう可能性があります。「安かろう、悪かろう」というわけです。

 

そして、このイメージは商品自体だけでなく、ブランドやメーカー自体に付いてしまう可能性があるのです。我々がものを買うときに、ブランド名の効果は非常に大きいです。そのため、このブランドイメージの低下は大きな問題となるのです。

 

また、いくつかのライバル企業が低価格競争を繰り広げると、ブランドだけでなく、そのカテゴリー、つまり「ハンバーガー」自体のイメージが低下してしまう可能性があります。

 

実際、ハンバーガーは現在どちらかといえばチープな食事のイメージが付いてしまっていますが、これはマクドナルドが行ってきた低価格プロモーションの影響かもしれません。また、マクドナルドは、安かったゆえに実際の味よりも劣って評価されている可能性があります。

 

■引用・参考文献:
上田隆穂(編)(2003). ケースで学ぶ価格戦略・入門 有斐閣

 

越智 啓太

法政大学文学部心理学科 教授

 

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※本記事は『買い物の科学:消費者行動と広告をめぐる心理学』(実務教育出版)の一部を抜粋し、THE GOLD ONLINE編集部が本文を一部改変しております。

買い物の科学:消費者行動と広告をめぐる心理学

買い物の科学:消費者行動と広告をめぐる心理学

越智 啓太

実務教育出版

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