(※写真はイメージです/PIXTA)

時代の変化とともに共働きの夫婦が増えていますが、年金についてはいまだに「夫:サラリーマン、妻:専業主婦」が“モデル世帯”とされています。A夫妻も、そんなモデル世帯の家庭のひとつ。ある日、A夫妻はなに気なく確認した「ねんきん定期便」に愕然とします。いったいなにがあったのか、株式会社よこはまライフプランニング代表取締役の五十嵐義典CFPが、事例をもとに〈年金ルール〉のポイントを解説します。

A夫妻の年金受給額をさらに増額する方法

さらに、「ねんきん定期便」にも記載のとおり、65歳からの年金には受給開始を遅らせて増額させる「繰下げ受給制度」があります。1月繰り下げるごとに0.7%増額され、70歳からの受給で42%増額、75歳からの受給で84%増額することができます。

 

ここまでみてきた方法で、AさんとBさんそれぞれが65歳まで年金を増やし、さらに繰下げ受給制度を活用すれば、その金額に増額率が適用されるため、繰下げ増額分も多くなります(※Bさんの振替加算は増額の対象外)。

 

65歳以降に貯蓄や収入があれば、受給開始時期を遅らせる余裕ができ、繰下げ受給の開始時期によっては夫妻で月30万円以上の受給も可能です。

 

ただし、実際に繰り下げた場合、「ねんきん定期便」に記載された見込額のとおりにはならないこともあるため、繰下げ受給を考える場合、65歳以降、年金事務所等で現状や条件ごとの見込額を確認しながら、受給開始時期を決めるとよいでしょう。

 

「老後は年金暮らし」は過去の話…親世代とは異なる年金対策を

AさんとBさんの両親は「60歳でリタイア・60歳から年金」が当たり前の時代でした。しかし、現在は60歳で定年を迎えたあとも、再雇用等で65歳まで勤務することが一般的となり、年金も支給開始年齢の引き上げで65歳開始となりました。

 

これからは、終身で支給される公的年金を老後資金のベースとしつつ、あとは私的年金(企業年金等)や貯蓄、給与収入など自助努力でカバーすることも重要です。

 

公的年金収入だけでは老後資金は足りないかもしれませんが、増やす機会はあります。年金のルールを正しく把握し、年金を増やす方法について早めに確認しておくとよいでしょう。

 

 

五十嵐 義典

株式会社よこはまライフプランニング代表取締役

特定社会保険労務士/CFPⓇ認定者

 

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