国内では絶対に信用しないような話でも・・・
投資詐欺のワナは海外関連だけに潜んでいるわけではありませんが、国内では信じがたいような話であっても、「海外」というフィルターを通すだけで、簡単に騙されてしまう人が少なくありません。
確かに海外には、国内では利用できない金融商品が多数存在し、なかには非常に優秀な成績を残しているものもあります。こうした商品についても国内での情報は非常に限られていることから、いつしか一部の人たちだけが知る「オイシイ話」になり、そうした事実を巧みに織り交ぜることで、様々な投資詐欺が横行しているのが実情です。
実際、近年も香港を投資の舞台として、被害総額が数百億円に上るような詐欺案件がいくつも報道されており、現在進行形で騙されている、あるいはこれから騙される人も少なくないと思われます。今回は、海外投資詐欺に遭わないための基本ポイントを考えてみましょう。
実は、詐欺かどうかを見抜くポイントは、国内の金融商品を利用する場合と基本的には変わりません。例えば、国内の○○銀行で投資信託を買う、あるいいは△△証券で××社の社債を買うという場合には、詐欺に遭う可能性はほとんどないといえるでしょう。もちろん、保証もないのに「絶対に上がる」と言われるなど、いわゆる詐欺的な売り方が問題になることはありますが、商品自体は詐欺でも何でもありません。
これが「○○さんという株の名人がいて、その人に運用を任せればお金が増える」という話になるとどうでしょうか。一気に詐欺の匂いを感じる人が多いと思います。その理由はいろいろありますが、金融商品を取り扱うライセンスを持っているか否か、そしてその商品は金融当局の認可を受けているか否か、これが決定的な分かれ目でしょう。
金融商品販売に「ライセンスがない」国は存在しない
日本に限らず、世界中どこの国でも金融商品を販売するには基本的にライセンスが必要ですし、まともな金融商品については認可あるいは登録制度があります。香港であってもシンガポールであっても、それは変わりません。銀行や証券会社を営むには厳格なライセンスの取得が求められますし、その商品を取り扱うにあたってもライセンスが必要です。
海外投資詐欺を避けるコツ――それは、やはり利用を検討する商品がどんなライセンスの下で販売されているのか、そこをしっかりチェックすることでしょう。例えば、香港の銀行や証券会社で販売されている商品であれば詐欺の心配はグンと減りますし、そのほかの金融機関でもライセンスを保有しているかどうかをとにかく確認することがポイントです。
もちろん、香港やシンガポールには世界中の金融商品が集まってきますので、認可や登録は他国で取得しているという商品も多数存在します。しかし、この場合でも、どの国の金融制度によって保護されているのか、これを自分自身で確認しなければなりません。きちんとした金融商品であれば、行政レベルの預金保護、あるいは投資家保護の仕組みが必ず設けられており、これが確認できない商品は「持ち逃げされても不思議ではない」というのが現実なのです。
もし、海外の金融商品だからライセンスや登録状況なんて分からない・・・ということであれば、基本的にその商品は利用すべきではありません。たとえ海外の金融商品であっても、いや事情の分からない海外の金融商品だからこそ、ライセンスのない売り手が扱う商品、そして認可や登録のない商品には手を出さないというのが鉄則なのです。