大企業、金融機関、投資家たちが香港を目指す理由
本格的な海外投資の場として、必ず名前が上がってくるのが「香港」。ですが、なぜ香港なのでしょうか。ごくごく基本的なところからご紹介しましょう。
多くの方がご存知のとおり、香港は中国の特別行政区です。かつてはイギリスの植民地でしたが、1997年に中国に返還されました。イギリス統治時代から貿易の拠点として繁栄していましたが、返還後も「1国2制度」が採用されており、いまも独立した都市国家のような状態が維持されています。
アジア交通の要所にある、ということ以外には、もともと際立ったアドバンテージのない香港ですが、それだけに貿易都市、金融都市として国を富ませる方針を一貫して採用してきました。徹底した規制緩和、低税率を武器に、世界中の大企業・金融機関のアジア拠点として誘致し、今日の繁栄を築いています。
いわば、どこの国にも存在するような、国内資本・企業・産業の保護といった制度・政策がほとんどなく、どんな国の企業でも、どのような人々でも、きわめて平等かつ自由に競争できる社会を香港では用意しているのです。
ここに圧倒的な税負担の少なさも加わることで、国際レベルの大企業・金融機関から、本当に個人レベルの実業家・投資家まで、「ひとつ勝負をしてやろう」という人々が流れ込み、結果的に世界中から(香港政府の思惑どおりに)ヒト・モノ・カネが集まってくるという状況になっています。
当然、投資案件・金融商品などについても世界中から集まり、それぞれが厳しい販売競争を繰り広げていますので、他の地域ではなかなか利用できない、案件・商品が存在する可能性も高いわけです。いわゆる参入障壁についても極限まで取り除かれていますので、たとえ外国人であっても、こうした案件・商品を自由に利用することが可能です。
税務の専門家をパートナーに、自由で公平な海外投資を
もちろん、何でもありの無法地帯というわけではありません。香港では、自由で公平な競争を実現するため、むしろ取引のルール等については厳格に定められており、金融商品などについても極めてきちんとした法整備が行われています。
金融当局のライセンス管理のもと、世界中から集まる選りすぐりの案件・商品を、誰でも自由に利用することができる――これが海外投資の場として人々が香港を利用する理由です。また、物理的に日本から近い、という要件も見逃せません。実際に足を運ぶかどうかは別にしても、イザというとき、数時間程度で現地に行けるというアドバンテージは大きいものです。
最後に、ひとつ注意しておきたい点がひとつ。香港の現在の繁栄は、その低税率によるところが大きいのも事実ですが、このメリットは、基本的に香港に本拠地を置いて活動する企業や人だけが享受できるものです。
確かに香港は、国際的にはタックスヘイブン(租税回避地)として認識されています。しかし、この要素に安易に飛びつくことは禁物です。その意味では、税務面できちんと相談できる専門家の存在が、香港を活用するには不可欠といえるでしょう。