「夫が亡くなったけれど、遺産はないし特に手続きは必要ないですよね?」は大間違い!借金、未払いの税金などの「マイナスの財産」相続放棄のタイムリミットは?【弁護士が解説】

「夫が亡くなったけれど、遺産はないし特に手続きは必要ないですよね?」は大間違い!借金、未払いの税金などの「マイナスの財産」相続放棄のタイムリミットは?【弁護士が解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

配偶者が亡くなると「相続」が始まります。とはいえ実際に相続人のひとりとして遺産相続を進める立場になった場合、大半の人はどうすればよいか理解していないかもしれません。相続トラブルを回避するには、どのようなポイントに注意すべきなのでしょうか? 本稿では、上谷さくら弁護士の著書『新おとめ六法』(KADOKAWA)より一部抜粋して、相続の注意点について、ケース別に解説します。

「内縁関係」に相続権は発生するのか

ポイント:内縁関係の場合は相続できない

配偶者には必ず相続権があります。しかし、内縁関係の場合は、どれほど親密であっても相続権はありません。ただし、法定相続人が一人もいない場合には「特別縁故者」として、相続財産を受け取れる場合があります。遺言があれば、相続財産を受け取ることができますので、生前に相続の話をしておきましょう。

解説:再婚の場合や婚姻外の子がいる場合の相続

誰が相続するのかは、民法で定められています。相続人を確定するためには、亡くなった配偶者が生まれてから亡くなるまでの、すべての戸籍謄本を取得することが必要です。亡くなった配偶者が、実は家族に内緒で婚外子を認知している場合や、まったく知らない親戚がいたりしますので、注意が必要です。

 

夫が再婚で、前婚の妻との間に子どもがいたり、婚姻外で認知した子どもがいる場合、その子どもたちにも相続権があります。夫と疎遠でも、子どもの相続割合は全員平等です。また、認知していない子どもがいた場合、死後でも認知される可能性があり、その場合は相続権を主張できます。その子どもの相続の割合も、ほかの子どもと平等です。

 

ポイント:姻族終了

配偶者が亡くなった場合、配偶者の家族との関係を終了させることができます。その場合でも、相続には影響がありません。姻族を終了できるのは配偶者だけです。望んでいないのに亡くなった配偶者の家族から姻族を終了させられることはありません。

解説:住む場所がなくなる!?

2020年4月1日から施行された改正民法では「配偶者居住権(民法第1028条)」「配偶者短期居住権(民法第1037条)」という権利が設けられました。

 

これまでは、たとえば妻が夫名義の家で暮らしていたとき、夫の死後もそこに住み続けるためには、遺産分割や遺言書によってその不動産の所有権を取得する必要があり、不都合であることが問題となっていました。

 

改正法では、亡くなった人の配偶者が相続開始のときに遺産の建物に居住していた場合、遺産分割または遺言によって、その建物を無償で使用収益をする権利(配偶者居住権)を取得できるようになりました。

 

あくまで法律上の配偶者に認められているものなので、子どもや内縁関係の人には認められません。

 

ただし、場合によっては、デメリットが多いケースもありますので、専門家に相談しましょう。

 

あなたを守る法律

「民法」第882条 相続開始の原因

 

相続は、死亡によって開始する。

 

「民法」第890条 配偶者の相続権(一部抜粋)

 

被相続人の配偶者は、常に相続人となる。

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※本連載は、上谷さくら弁護士の著書『新おとめ六法』(KADOKAWA)より一部を抜粋・再編集したものです。

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