80代が受け取る年金「おおよそ21万円」だが…
現首相は総裁選時から「令和版所得倍増」を掲げてきました。しかし政権発足早々、経済再生担当大臣の「文字通りの『所得倍増』というものを指し示しているものではない」という言葉が世間を騒がせます。
また、所得倍増のため「企業に従業員の賃上げを促す」「医療・保育などの現場で働く人たちの所得増のため委員会を設置」といった策を検討するということでしたが、今では「資産所得倍増」という言葉が使われ、もっぱら投資による資産形成が促されています。
さて、そこで気になるのが現在の日本人の平均所得です。厚生労働省『2023(令和5)年 国民生活基礎調査』より所得分布を見ると、「100~200万円未満」が14.6%、「200~300万円未満」が14.5%、「300~400万円未満」が12.9%と、所得300万円未満の世帯が最も多くなっています。中央値は405万円。
「全世帯」の平均所得金額は524万2,000円であり、平均額以下の割合は62.2%と、過半数を大幅に超えています。
自身の所得を顧みて、改めて「所得倍増」を夢物語と感じてしまう人もいるかもしれません。特に現役を引退した高齢者の方にとっては、現在の月の所得といえば年金が主たるものになるわけですから、余計に現実を「直視しすぎて落胆する」事態に陥りかねないでしょう。
厚生労働省『令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況』によると、80~84歳の高齢者が受け取っている平均年金額は、厚生年金が月15万4,860円、国民年金が月5万6,139円。85~89歳では、厚生年金が月15万9,957円、国民年金が5万6,044円です。
日本の年金は3階建てですから、サラリーマンとして勤め上げた方の場合、おおよそ21万円ほどの年金を受け取る計算になります。ローンを完済した持ち家に住んでいれば、この収入は安定した生活をもたらすかもしれません。しかし、現実はそうはいかないものです。
老人ホームが広く知られるようになった今、ゆくゆくの入居を考えている人も少なくないでしょう。では、実際のところいくらかかるのか?