●8月5日の日経平均はブラックマンデー超えの歴史的急落、6日は一転して歴史的急騰の見通し。
●日経平均の下げは先物主導か、裁定買い取引解消などの現物売り誘発で5日はパニック相場に。
●投機主導なら急騰も然り、長期株高トレンド、金融・国内環境を踏まえれば過度な悲観は不要。
8月5日の日経平均はブラックマンデー超えの歴史的急落、6日は一転して歴史的急騰の見通し
8月5日の日経平均株価は急落し、前週末比4,451円28銭(12.4%)安の31,458円42銭で取引を終えました。下落幅は1987年10月20日の3,836円48銭(米国株の急落が世界に飛び火したブラックマンデー翌日)を超え、過去最大となりました。しかしながら、翌6日はこの流れが一転し、日経平均の寄り付きは前日比618円91銭(2.0%)高の32,077円33銭で取引が始まり、その後上げ幅は3,000円を超え急拡大しています(9時47分時点)。
今回のレポートでは、改めてこの急落と急騰の背景を探り、今後の展開について考えます。まず、歴史的な急落の根底には「米国景気の先行き不安」があり、それに起因する形で「米ハイテク株の続落」と「ドル安・円高の進行」が重なり、日経平均はこの3つの売り材料に押されたと推測されます。次に、これほどまでに下げ幅が大きくなった理由について考察します。
日経平均の下げは先物主導か、裁定買い取引解消などの現物売り誘発で5日はパニック相場に
日本株市場の特徴として、市場全体の売買代金合計額に占める海外投資家のシェアが高いことがあげられます。2023年通年でみた場合、現物取引(東京および名古屋証券取引所合計)における海外投資家のシェアは約60%、金額は約1,199兆円です。先物取引(日経225先物、日経225mini、日経225マイクロ先物、TOPIX先物、ミニTOPIX先物の合計)ではシェアが約75%に上昇し、金額は2,887兆円に達しています。
そのため、今回は海外投資家(投機筋など)が、かなりまとまった金額で先物を売り、日経平均の急落を主導した可能性が高いとみています。これが、裁定買い取引の解消(詳細は3月12日付レポート参照)や、個人投資家の信用買い残高(7月下旬で約18年ぶりの高水準)の整理などを通じた現物売りを誘発し、8月5日は売りが売りを呼ぶ「パニック相場」となり、下げ幅が急拡大したと思われます。
投機主導なら急騰も然り、長期株高トレンド、金融・国内環境を踏まえれば過度な悲観は不要
日経平均の下げが投機筋による先物の売り主導であれば、比較的短期間で利益確定の買い戻しが予想されますが、多くの投資家が現物を売った後のため、戻り売りは少なく、上昇幅は急拡大しやすくなります。最後に、今後の展開を考えます。8月5日に大きく下げた日経平均ですが、10年超続く長期上昇トレンドに回帰しただけで(図表1)、過度に悲観する必要はないとの見方は不変です。
また、日銀当座預金には依然巨額の資金が滞留しており、潤沢な流動性は株価の支援材料です(図表2)。今回の株安は米国景気の先行き不安が主因であるため、今後、米経済指標や米金融当局者の発言で不安が和らげば、相場は落ち着く見通しです。日本では賃金と物価に改善の動きがみられ、資本効率改善など企業の意識も大きく変化しています。株価水準が全体的に大きく下がった現在、冷静に日本株投資を考える余地は十分あると思われます。
(2024年8月6日)
※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『日経平均株価、「ブラックマンデー超えの大暴落」から一転「過去最大の上昇幅」になった理由【解説:三井住友DSアセットマネジメント・チーフマーケットストラテジスト】』)。
市川 雅浩
三井住友DSアセットマネジメント株式会社
チーフマーケットストラテジスト
2025年2月8日(土)開催!1日限りのリアルイベント
「THE GOLD ONLINE フェス 2025 @東京国際フォーラム」
来場登録受付中>>
注目のセミナー情報
【税金】11月27日(水)開催
~来年の手取り収入を増やす方法~
「富裕層を熟知した税理士」が考案する
2025年に向けて今やるべき『節税』×『資産形成』
【海外不動産】11月27日(水)開催
10年間「年10%」の利回り保証
Wyndham最上位クラス「DOLCE」第一期募集開始!
【事業投資】11月28日(木)開催
故障・老朽化・発電効率低下…放置している太陽光発電所をどうする!?
オムロンの手厚いサポート&最新機種の導入《投資利回り10%》継続を実現!
最後まで取りつくす《残FIT期間》収益最大化計画
2025年2月8日(土)開催!1日限りのリアルイベント
「THE GOLD ONLINE フェス 2025 @東京国際フォーラム」
来場登録受付中>>
【関連記事】
■税務調査官「出身はどちらですか?」の真意…税務調査で“やり手の調査官”が聞いてくる「3つの質問」【税理士が解説】
■月22万円もらえるはずが…65歳・元会社員夫婦「年金ルール」知らず、想定外の年金減額「何かの間違いでは?」
■「もはや無法地帯」2億円・港区の超高級タワマンで起きている異変…世帯年収2000万円の男性が〈豊洲タワマンからの転居〉を大後悔するワケ
■「NISAで1,300万円消えた…。」銀行員のアドバイスで、退職金運用を始めた“年金25万円の60代夫婦”…年金に上乗せでゆとりの老後のはずが、一転、破産危機【FPが解説】
■「銀行員の助言どおり、祖母から年100万円ずつ生前贈与を受けました」→税務調査官「これは贈与になりません」…否認されないための4つのポイント【税理士が解説】