愛知県体育館での開催が最後の名古屋場所で、横綱・照ノ富士が節目の10回目の優勝。名古屋場所での照ノ富士の優勝は初めて
愛知県体育館で行われた最後の名古屋場所での最後の取組は、横綱・照ノ富士と東前頭6枚目・隆の勝の12勝3敗同士の優勝決定戦になりました。横綱・照ノ富士が寄り切りで勝ちました。
今年1月の初場所以来の優勝で、10回目の優勝。横綱としては6度目の優勝となりました。10回目以上の2ケタ回数優勝したのは歴代15人目です。優勝インタビューでは、10回目の優勝に関し、「目標に向けてやってこれて良かった」。「名古屋場所で初優勝となったが」という質問に対して、「名古屋で応援してくださっていた方の前で1回でもいいからいい姿を見せたいと思っていた」と答えていました。
大相撲名古屋場所懸賞1,759本は、名古屋場所としては7年前の1,677本を上回って最多本数を更新。前年同場所比は+26.7%で6場所連続増加
令和6年・大相撲名古屋場所の懸賞本数を1,759本となりました。事前申し込みの1,947本を下回ったものの、昨年名古屋場所の1,388本を大きく上回りました。前年比は+26.7%で6場所連続前年同場所比増加になりました。なお、1日当たりの最多は千秋楽の154本でした。大関・琴桜が横綱・照ノ富士に土をつけて優勝決定戦となった千秋楽結びの一番には57本の懸賞が懸かりました。
名古屋場所に優勝した横綱・照ノ富士の獲得懸賞は339本で第1位に。昨年の名古屋場所第1位の豊昇龍の151本を大きく上回る
今場所、いちばん多く懸賞を獲得したのは、優勝した横綱・照ノ富士の339本と、昨年の名古屋場所第1位の豊昇龍の151本を大きく上回りました。優勝決定戦に出場した東前頭6枚目・隆の勝は79本で5位タイでした。
令和6年・大相撲名古屋場所の懸賞本数1,759本は、平成29年(2017年)の1,677本を上回って名古屋場所の最多本数を7年ぶりに更新しました。
7月1日に改定されたGDP統計でも、JRA売得金・前年比と名目GDP・前年比の平成・令和の34年間での相関係数は0.71と高い
JRA売得金・前年比と名目GDP・前年比の平成・令和の34年間(平成元年・1989年~令和5年・2023年)での相関係数は0.71と高い数字になっています。景気が良く収入が伸び、懐具合が良い時は競馬の売得金も伸びるようです。23年の前年比は+0.7%で12年連続増加になりました。緩やかながら景気拡張局面が続いていたことと整合的な数字でになりました。
24年上半期のG1レースの売得金・前年比は、全12レース中4レースが増加、8レースが減少
24年前半のGⅠレースの売得金・前年比は全12レース中、4レースが増加、8レースが減少となりました。23年後半のGⅠレースの売得金・前年比が全12レース中、8レースが増加、4レースが減少だったので、24年前半のGⅠレースの売得金・前年比はちょうど逆で、悪い方の結果になりました。今年3レース目の3月末の大阪杯が初の減少になり、続く4月は3レース全てで減少。5月は4レース中、増加と減少が2レースずつになったものの、6月の2レースは減少と、パッとしない内容になりました。
24年JRA売得金・年初からの累計前年比、6月初めまで鈍化傾向だったが、直近は徐々に持ち直し、13年連続前年比増加に向けて推移
24年のJRA売得金・年初からの累計前年比は、プラス基調は維持してきたものの年初から伸び率が6月初めまで鈍化傾向で、6月2日時点・6月9日時点では連続して+0.4%と今年になっての最低の伸び率になり、もたつきが感じられました。しかし、そこから徐々に持ち直し、7月21日までの年初からの累計前年比は+0.8%になり、13年連続前年比増加に向けて推移しています。
セ・リーグは、巨人が34年ぶりにセ全球団に勝ち越しての首位ターンで、優勝が期待される状況。優勝年の平均でみて、巨人優勝年は、日銀の12月短観・業況判断DI・前年差が改善傾向
プロ野球セ・リーグは7月21日にオールスター前となる前半戦を終了しました。首位に立ったのは巨人で、19年にリーグ制覇して以来5年ぶりの首位ターンです。前半戦終了時の2位は1ゲーム差で広島、3位に2.5ゲーム差でDeNA、4位に3.5ゲーム差で阪神が追いかける、混戦状態になっていました。
なお、巨人は後半戦最初のカードのDeNA戦(7月26日~28日)で今季3度目の同一カード3連勝、貯金を最多の11としました。2位の広島とのゲーム差は3ゲーム差に広がりました。
オールスター・ゲームが始まった1951年以降、巨人がオールスター・ゲームを折り返しとした前半戦を首位ターンしたのは、19年(最終順位は優勝)以来5年ぶり36回目(新型コロナウイルスの影響で球宴が開催されなかった20年は除く)。過去35回のうち優勝したのは29回あり、優勝確率は83%になります。さらに、セ全球団に勝ち越しての折り返しになりましたが、これは実に90年以来34年ぶり12度目で76年の2位通過を含めて過去11度全てリーグ優勝を果たしています。
巨人の新人監督の優勝は1936年秋の藤本定義、43年の中島治康、61年の川上哲治、81年の藤田元司、02年の原辰徳の5人。51年以降の過去3人はいずれも前半戦首位ターンで、リーグ優勝、日本シリーズ優勝を達成しています。今年も新人監督の、阿部慎之助・監督への期待が高まります。
1973年以降、プロ野球シーズン終了直後の12月調査(96年までは11月調査)で大企業・全産業・業況判断DI・前年差をみると、51年間の平均は▲0.0ポイントです(73年当時は中小企業のデータはありません)。巨人がセ・リーグ優勝した20回の平均は+5.7ポイント、阪神が優勝した4回の平均は+3.3ポイントと、人気球団の優勝年は平均すると変化幅プラスですが、他の4球団の優勝時の変化幅の平均は▲4.7とマイナスです。
なお、巨人が日本シリーズで優勝した年の平均変化幅は+11.3ポイント、長嶋監督で日本シリーズ優勝した年の平均変化幅は+23.0ポイントとなっています。
今年、前半戦首位ターン巨人のセ・リーグ優勝し、企業の景況感が前年より改善となることを期待します。
大相撲の懸賞や、JRA売得金、接戦ながら巨人の全球団に勝ち越しての前半戦首位ターン、といった身近なデータの最近の動きは、7月の月例経済報告の「景気は、このところ足踏みもみられるが、緩やかに回復している。」という判断と整合的なものと言えそうです。
※本投稿は情報提供を目的としており、金融取引などを提案するものではありません。
宅森 昭吉(景気探検家・エコノミスト)
三井銀行で東京支店勤務後エコノミスト業務。さくら証券発足時にチーフエコノミスト。さくら投信投資顧問、三井住友アセットマネジメント、三井住友DSアセットマネジメントでもチーフエコノミスト。23年4月からフリー。景気探検家として活動。現在、ESPフォーキャスト調査委員会委員等。