考えるべきは「どちらを選択すれば金持ちになれるか」のみ
買った値段より上がったら売りたくなり、下がったら塩漬けしたくなる…というのは、そもそも合理的な判断ではありません。買った値段にかかわらず、上がりそうなら持っていればいいし、下がりそうなら売ればよいのです。
株を買ったときに払った金は「サンクコスト」であって、戻って来ないのですから、将来志向で「売るのと売らないのと、どちらを選択すれば自分は金持ちになれるか」だけを考えればよいのです。
買った値段に囚われないためには、毎朝持っている株を全部売ってしまう、というのがよいでしょう。そして、新しく投資をするのです。もちろん、売った株と同じ株を買う場合も多いでしょうが、別の株を買う場合もあるでしょう。
そうすることによって買った値段に囚われずに合理的な判断ができるようになるでしょう。もっとも、実際に売り買いすると手数料がかかりますから「売ったつもりになる」だけで十分ですが。
暴落しても「深呼吸して待つ」が基本だが、個別株は要注意!
株価が暴落したときに、冷静でいられる投資家は少ないでしょう。しかし、気が動転しているときに意思決定をすると、間違える可能性が格段に高いので、まずは深呼吸して落ち着きましょう。
平均株価が暴落したときには、過去数十年の平均株価のグラフをじっくり眺めましょう。何度も暴落し、そのたびに回復していることを確認したうえで「今回だけは回復しない」と考える理由を考えてみましょう。そんな理由は見つからないでしょうから、今回も回復すると期待して、売らずに静かにしていましょう。
ただし、個別株が暴落した場合には、暴落の理由が重要です。一時的な原因(たとえば災害で部品の調達が一時的に不可能になり、工場が止まってしまった)による暴落なら、待っていれば戻りますから売ることはありませんが、会社の将来性に対する期待が剥げてしまった場合には、あきらめて「損切り」をしたほうがよいでしょう。
「損切り」と「狼狽売り」どうやって区別する?
投資初心者は「損切りが苦手で、売るべきときに売らず、塩漬けにしてしまうことが多い」「株価暴落時に狼狽売りをして損をすることが多い」といわれます。それぞれ反対のことをいわれているようですが、しっかり区別しましょう。
「狼狽売り」は冷静さを欠いた判断ですが、「損切り」は冷静な判断の結果としての売却です。まずは深呼吸して落ち着きましょう、ということですね。
それから、平均株価が暴落したときは、売らずに見守るほうがよい場合が多く、個別株の暴落の時は冷静に暴落の原因を探ってから判断する、ということだと思います。
なお、株価が暴落して「これ以上下がったら生活に支障が出る」と慌てる人がいますが、そういう人はそもそも投資額が過大なのです。そんな事態に陥らないためには「株価がゼロになっても生活に支障が出ない金額の範囲内でバクチを楽しむ」ことが重要でしょう。
本稿は以上ですが、投資判断等は自己責任でお願いします。なお、本稿はわかりやすさを重視しているため、細部が厳密でない場合があります。
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塚崎 公義
経済評論家
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