前回は、相続時におけるリゾートマンション、農地の売却にまつわるリスクについて説明しました。今回は、なぜ「お荷物」となる不動産は速やかに売却すべきなのかを見ていきます。

コスト削減のために、「二束三文」でもとにかく売却

第1回、第2回で開設したように、①地方の別荘地等、②リゾートマンション、③田畑については全く策のないまま売りに出しても、買い手を見つけることが非常に困難な状況となっています。

 

では、こうしたお荷物不動産を相続の前にスムーズに処分するためには、どのような手段を講じればいいのでしょうか。

 

まず、いずれについても価格は度外視して、二束三文でしか売れないことを覚悟して、とにかく売りに出すことが大切です。

 

リゾートマンションなどは買ったときの価格が億近くしたようなものもあるかもしれません。それを、ただ同然で売ることに対しては当然、ためらいもあるでしょうが、持ち続けていても何の利益ももたらされません。それどころか、管理費等のコストがいたずらにかかるだけです。「持ってけ、泥棒!」ぐらいの気持ちで、思いきって売ってしまいましょう。

別荘地は「隣地の所有者」が購入してくれる可能性も

また、①地方の別荘地等については、「隣地の所有者に売却する」という選択肢も考えられます。隣地のオーナーが別荘などを建てて暮らしているような場合には、「もっと土地を広げてゲストハウスを増設したい」などと思っている可能性もあります。「実は、うちの土地を売ることを考えているのですが・・・」などと話をもちかけてみたら、すんなりと買い取ってもらえるかもしれません。

 

③田畑については、先にも触れたように農家に売るしか選択肢がないものもあります。その場合に、心がけておきたいのは、「土地を荒らさないようにしておく」ということです。田畑は手入れを怠ればすぐに雑草などが一面いっぱいにはえてきます。農地として売る以上は、米や野菜をいつでもつくれる状態が保たれていなければ、全く見向きもされないおそれがあるでしょう。

本連載は、2016年6月30日刊行の書籍『「相続破産」を回避する地主の生前対策』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

「相続破産」を回避する地主の生前対策

「相続破産」を回避する地主の生前対策

加瀬 義明

幻冬舎メディアコンサルティング

2015年1月から実施された相続税増税により、「資金が足りずに税金が払えない」「不動産を手放すしかない」という人が急増しています。 不動産の売却によって納税資金を用意できればいいものの、「隣地との境界問題が解決でき…

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