インフレでも金持ちがダメージを受けないのはなぜ?
お金に関して、大切なことを一つ伝えよう。それは「お金は、長く持っていると少しずつ価値が下がる」ということ。
これについては、まず「インフレ」「デフレ」という言葉の意味を伝えないといけない。どちらもよくニュースで見て、何となくわかるようなわからないような、不思議な感覚になる言葉だね。
まずはインフレ。これはインフレーションの略で、「世の中のモノやサービスの価格(物価)が全体的に継続して上昇すること」。デフレはその反対で、価格が継続して下がること。これからの人生、わからない言葉があったら辞書を引くこと。とりあえずスマホでググるだけでもよい。AIに聞いてもまあ概ね、大丈夫だろう。
今まで何十年もの間、世界的にデフレが続いていたんだ。だから僕は、大人になってから物価が下がることしか経験してこなかった。パソコンもスマホも車も、待てば待つだけ安くなった。こういうときは、お金を現実でもっていてもよいし、銀行に預けても損はしない。景気が悪かったら株式や不動産の価値もそれほど上がらないから、別にどんな形で持っていても構わないわけ。
でもその世界の「ルール」みたいなものが、ここ数年で大きく変わった。完全にインフレの時代に突入したんだ。ママがよく「食費が高くなった」とか、嘆いているだろう。あれが物価の上昇だ。これにはいくつかの原因があるんだけど、ごく単純にいうとお金を大量に印刷した結果として、お金の価値が下がっているということ。
モノの価格というのは「需要と供給」で決まる。それがほしいという人が多ければ価値が上がるし、いらないと思われたら価値は下がる。手に入りにくいものは価値が上がり、たくさんあるものは価値が下がる。自由にモノを売り買いできる市場(いちば)があって、たかくても買いたいという人が多ければ価値が上がるし、誰も買いたがらないものは安くなる。安ければ買ってもよいという人が現れるからね。このように、あらゆる価格は売り手と買い手の網引き、市場(マーケット)で決まる。
だからお金の量が増えれば、お金の価値は下がるんだ。ほしがる人の数が同じでも、供給が増えると手に入りやすくなるからね。物価が上がるということと、お金の価値が下がるということは同じ意味だ。だからお金の価値が下がるということは、インフレということになる。
少し前まで世界中で景気が悪くて、景気をよくしようと思ってお金を印刷しまくった。刷っても刷ってもなかなか景気はよくならないから、もっと大量に刷った。そうしたら、ちょっと時間差があって物価が急激に上がり始めた。
「そんなバカなわけがない」って思うでしょ? 嘘みたいだけど、本当の話だ。まあちょっと単純にしすぎているかもしれないけど、大きな構造としてはそういうことが起こっている。
普通はインフレが起こるのは、世の中の景気がよいときとされている。物価が上がっても、それ以上に給料が上がれば経済全体はうまく回るし、みんな幸せになるだろうと。資本主義というのは、そんな楽観的な考えで運営されているんだ。結構、危うい仕組みなんだよ。
ところが今回は、経済がよくなっているというよりは、お金をたくさん刷ったことの影響が大きいから、そこまでうまいくかは疑問。物価だけが上がって、給料はそれほど上がらない、つまりみんなの生活が苦しくなるかもしれないな。
お金の知識がある人は、そんなことが起こっても今までと変わらない、豊かな生活をし続けられる。インフレになると現金や銀行に預けたお金(預金)の価値は減るけれど、株や不動産、ビジネスといった資産にお金を換えておけば、モノの値段が上がるとそれらの価値も上がるから、価値が減ることはない。余計な苦しみを感じなくて済むんだ。
どうだろう。お金のことを学ぶ価値が、少しは伝わったかな?