(※写真はイメージです/PIXTA)

タイの首都バンコクは、日本人にも住みやすいことから、リタイアした富裕層やフリーランスの居住者が増えています。今回は、日本・タイ・カンボジアの3カ国で不動産会社を経営する富士リアルティの永松秀行社長の経験談を交えつつ、バンコクの投資メリットのあるエリアや物件の特徴、投資にまつわる注意点を見ていきます。※本記事は、OWL Investmentsのマネージング・ディレクターの小峰孝史弁護士が監修、OWL Investmentsが執筆・編集したものです。

不動産のプロ、タイでトラブルに巻き込まれる

小峰:タイは安定成長している国ですから、安心してコンドミニアムを買えそうですね。

 

永松:ただ、注意は必要です。なにを隠そう、この私もトラブルに巻き込まれました。海沿いの保養地パタヤのコンドミニアムが1部屋1,500万円くらい、場所がいい割に安かったので購入したのですが、完成後、登記できないというのです。役所に提出していた計画ではコンドミニアム2棟だったのに、実際に作ったのはコンドミニアム1棟、ホテル1棟だったので、登記できないということでした。

 

小峰:いまさらですが、どうするべきだったのでしょうか?

 

永松:弁護士を入れて契約書や関連文書を確認していれば、トラブルを防げたはずです。お客さんが買うときは弁護士を入れて確認するのですが、今回は買うのが自分だったうえ、金額も小さかったので、弁護士の確認を省いたのが敗因です…。

有名デベロッパーでも安心できない

小峰:でも、そんなトラブルはそう多くないでしょう?

 

永松:いいえ。実はこうしたトラブルは少なくないのです。この手のトラブルに巻き込まれないようにするには、チェック体制の整った不動産会社が間に入るほうがよいのです。

 

小峰:なぜでしょうか?

 

永松:顧客が直接デベロッパーの事務所に行ってしまうと、「デベロッパーが直で見つけた顧客」として記録され、不動産会社が入ってチェックすることができません。「不動産会社を入れると負担が増す」と考える投資家の方もいらっしゃいますが、そんなことはないので、お声がけ頂ければと思います。

 

小峰:なるほど…。

 

【補足】改めて調べると、報道されている事例として以下のケースがありました。

 

●JR九州とタイのデベロッパーのInspireが合弁でコンドミニアムを建設する予定だったが、Inspireが資金難で計画がストップしてしまった

 

●三井不動産とタイのデベロッパーのAnandaが合弁で、BTS(高架鉄道)と地下鉄の交差する最高の立地というべきアソークにコンドミニアムを建設したが、建物完成後、接道要件を満たしていないとして問題になり、現在も未解決

 

こうした事案が実際にあったことを踏まえると、永松社長の指摘されたように、購入前のチェックは必須と言えそうです。

二流物件を2つ買うより、一流物件を1つ買え!

小峰:賃貸の利回りはどれくらいでしょう?

 

永松:外国人や外国企業は不動産を賃貸して収益を得ることはできませんが、外国人でも「タイ法人」を設立すれば賃貸できます。ただ、利回りは3%くらいですから、収益という点では、キャピタルゲインの方が狙い目でしょう。

 

小峰:購入時に気を付けるべきポイントはなんでしょうか?

 

永松:デベロッパーと立地です。先ほども申し上げましたが、タイの不動産投資にはリスクがありますが、一流デベロッパーであればリスクは抑えられます。60社ほどのデベロッパーがタイで上場していますが、弊社の場合、そのなかから信頼性が高く日本人が満足できるデベロッパーの物件を選んでいます。

 

小峰:立地について、タイ特有の事情はありますか?

 

永松:日本では南向きが好まれますが、タイでは暑すぎるため北向きが好まれます。しかし、方角以上に重要なのは眺望で、眺望によって値段が変わります。さらに高層階、できれば最上階がいいですね。東南アジアや中華圏の富裕層は希少性を重視しますので、最上階で眺望のよい部屋がベストです。

 

小峰:立地・眺望・高層階と揃った物件がいいのはわかりますが、出口(売却時)に高いだけでなく、入口(購入時)も高くて、手が出ません…。

 

永松:アドバイスとして申し上げるなら、二流の物件を2つ買うなら、一流の物件を1つだけ買ってください、ということです。富裕層はみなこの行動パターンです。車であれば、ベンツGクラス2台よりフェラーリ1台。これが富裕層の法則なのです。

 

小峰:なるほど…。ありがとうございました。

 

 

小峰 孝史
OWL Investments
マネージング・ディレクター・弁護士

 

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