クロージングは「短く・ビジネスライク」に徹する
今回は、中国企業との交渉をスムーズに終わらせるためのポイントをまとめておきます。
①落としどころを決めておく
行き当たりばったりではなく、落としどころをあらかじめ決めておきます。「200言って100を取りたい」という中国側の計算だと思って、初めの要求を徹底して下げさせ、脇を固めて、最後のとどめの一手(人や物など)を用意することです。
②仲介役を用意する
双方を立てる折衷案を用意することも考えてみます。その場合は第三者を探してきて仲介役に立てます。相手より立場が上で公正で、その人の権威が双方から認められている人をあらかじめ決めておきます。中国人の高級幹部に辞職を迫る時にも、こうした配慮が有効でした。メンツが効く関係でないと機能しないことが多いのです。
③クロージングはビジネスライクに
討議が散漫になるのを防ぐため、記録を取り、進み具合を実感していきます。中国の交渉では、日中双方の2人の通訳が入るべきで、場合によっては相手の中国人通訳者に解決策を頼むケースもあります。
結論のタイミングが来たら、相手が明白な信号を送ってきますから、短くビジネスライクに徹したクロージングを図ることが大切です。このタイミングや瞬間を察知できる能力を磨きましょう。
そして交渉の最後には総括を必ずします。一致した点、未決な点を交渉ごとにしっかり書面にして、相手の了解の下に結論を出しておきます。
とにかく重要なのは「忍耐」・・・譲歩しない姿勢を見せる
④キーワードは「功利的説得」
最終決着は壮大な儀式とし、礼儀正しく行い、メンツから始まり、あらゆる手段を動員します。できれば中国側から結論を出させることが有効です。
ひな型契約書や交渉の最終目論見書を必ずつくっておきます。交渉の王道である「功利的説得」がキーワードで、相手が得をした部分を細かく分かりやすく説明し、相手が収穫できる成果を大いに取り上げてそれを強調します。
それを分からせ、満足させ、譲歩させるのです。相手も感情的になることが多いですから、冷静に証拠となるような図や表などで示すと混乱を避けることが可能です。
⑤「4ア精神」を貫徹する
とにかく忍耐、忍耐、忍耐で途中からの譲歩はしないことが大切です。最悪、最後の譲歩をする場合でも気前良くしてはいけません。中国では先例ができると変更は不可能だと思った方がよいです。
いずれにしても中国人との交渉では精神的な強さだけではなく、肉体的スタミナが要求されます。
また論理的に打ち負かしても、相手を打ち負かさない配慮も重要です。交渉途中も中国と中国人の実情を知ることに関心を持ちましょう。それが分かると交渉終結に効果的です。あくまでも「焦らず、慌てず、侮らず、諦めず」の「4ア精神」の貫徹が重要です。
その後はビジネス談義をやめて、人間関係再構築の楽しい宴会に入ります。中国語で3曲くらい歌えなくては宴席はリードできません。私はDVDで練習し、中国の要人、友人に披露して喜ばれました。