(※写真はイメージです/PIXTA)

高齢者の住まいとして有効な選択肢となる「老人ホーム」。終の棲家との認識を持つ人は多いが、必ずしもそうとは言い切れないようだ。実情を見ていく。

有料老人ホームにはない、自由度の高さが魅力の「サ高住」

株式会社LIFULL seniorが60歳以上の男女に対して行った『高齢期の住み替え調査』によると、新しい住居への住み替えについて「住み替えたくない」が56.0%。「病気や倒壊後状態になってから考えたい」が20.9%、「元気なうちに住み替えたい」18.7%、「1年以内/3年以内に住み替えたい」が合わせて4.3%だった。

 

さらに「現在の住まいに住み続けるうえでの不安」を尋ねたところ、「階段の上ることが面倒だ」が33.4%と最多。「家や庭の管理・清掃が行き届かない」「家賃、住宅ローン、修繕費などの支払いが不安」「買い物や通院に不便」と続く。

 

「住まいに対する高齢者の不安」で、住み替える場合に重視したいこととして多く上がったのは「介護サービスを受けられる」の29.2%。「何かあれば助けを呼べる」が25.3%、「最期まで自宅で過ごせる」が22.5%。

 

住居形態の希望は「サービス付き高齢者向け住宅」が27.6%で、「シニア向け分譲マンション」「戸建て」「有料老人ホーム」と続く。

 

サービス付き高齢者向け住宅、いわゆる「サ高住」は、基本的に要介護度が高くない高齢者を対象としたバリアフリー住宅で、有料老人ホームにはない、自由度の高さが魅力だ。

 

サービスの幅も下記のように広く、

 

①介護サービスが付いておらず、仮に介護が必要になったら住み替えが必要になる

②在宅介護を併設

③介護付き有料老人ホーム同様の介護サービスが受けられる

 

②③のタイプは、介護職員が24時間常駐し、認知症に対応した施設もある。

「サ高住」に入居してくれ、ホッと一息ついたのもつかの間…

父親をサ高住に入所させ、ホッと安堵した男性とその妻だったが、それから数カ月、耳を疑うようなうわさが伝わってきた。

 

なんと、父親が入所した施設が閉鎖されるかもしれないというのである。

 

サ高住はいま、国の政策によって急増している。背景には、税制優遇や補助金制度の存在がある。

 

運営形態は主に「土地・施設運営一体型」「土地・施設運営分離型」の2種類。後者は、サービスを外部に委託するスタイルだが、近年の人手不足や採算が取れないといった問題で、運営から撤退、最悪は倒産というケースもある。そうなると、自社運営に切り替えるか、新たな委託先を探す必要がある。運よく施設の閉鎖は免れても、これまで通りのサービスが受けられるとは限らない。

 

「最期までここで過ごしてもらえると思ったのに…」

 

男性は頭を抱える。老人ホームを検討する際には、経営母体の状況も調べるのが大原則だ。また、検討する段階では問題がなくても、その後状況が変わることはありうる。万が一に備えて転居費用も確保しておくことが重要なのだ。

 


[参考資料]

株式会社LIFULL senior『高齢期の住み替え調査』

 

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相続税の「税務調査」の実態と対処方法

 

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