投資マネーがマンション価格高騰の一因とすると…
現在のマンション価格が需給バランスや建材価格の上昇という要素以上に、投資マネーの影響が大きいとしたら、今後の一般世帯にとって大きなリスクが潜んでいるということになります。
国内の不動産投資家にとっては、金融機関からの借入によってレバレッジをかけて利回りを確保する手法が一般的です。昨今の超低金利を背景に投資需要が旺盛になっていた側面があります。しかし変動金利が上昇した場合はどうなるでしょうか。利回りが低下するのは必至です。
仕入れコストが上昇すれば、投資家のマインドは冷え込み、次第に売却・相場下降へと向かっていきます。下降圧力に耐えられるのはごく一部の地域にある超高級物件だけでしょう。
高利回り物件の売れ行きに陰りが見えてきた時がシグナルで、もうそろそろ今の相場では売れなくなるかもと思っておいたほうがよさそうです。株価のように毎日チェックできるわけではないのが不動産価格であり、NISAのようにすぐに売却できるわけでもありません。気づいたら逃げ遅れていたということもありえます。
いずれにしても投資家は簡単に逃げることができます。しかしそこを住処とし、しっかりと生活の根を張ってしまったらもう簡単に逃げられません。ペアローンで1億円超の住宅ローンを抱え、資産価値が下がってしまったらそこに住み続けるしか選択肢がなくなります。高額な大規模修繕工事などが将来に待っているうえに、売却によって次のライフプランを計画していたものが白紙になってしまいます。戸建て住宅のように一生住み続けることもイメージしづらく、家計の収支に大きなダメージを与えることになるかもしれません。
いわゆるパワーカップルのようにいくら世帯年収が1,500万円を超えていようと、毎月の給与所得に依存している家計では、今後の変動金利の上昇など経済環境の激変に耐えられる体力はそう強くはありません。勤務先での人事異動ですら年収が変わるのですから、投資家や超富裕層と肩を並べようとするような買い物、購買スタイルは無理があるといえるでしょう。
マイホーム購入問題を解決するためには
新築マンション価格は今後下がらないのでしょうか。
下がると見込んで購入を延期している「暴落待ち」が最近目立っていますが、それに対して売り手は「暴落はしない」「今後も価格が上がり続ける」と力説します。実際に生活するマイホームであれば、相場ではなく買えるかどうかで判断すべきではありますが、ペアローンでなければ購入できないような高額物件ではそうはいきません。高額な住宅購入をするのであれば、いずれ売却し老後資金の一助にするライフプランニングをすべきだからです。
もちろん筆者は今後の相場を断言する立場にはありませんが、事例の夫婦にも伝えたひとつの現実をご紹介したいと思います。