高騰が止まらないマンション価格。なかでも人気のタワマンは、度々物議を醸しています。東京五輪・パラリンピックの選手村跡地に建つマンション群「晴海フラッグ」の売買も、まるでマネーゲームだと大きな話題を呼びました。本記事ではKさん夫婦の事例とともに、現在の新築マンション情勢について長岡FP事務所代表の長岡理知氏が解説します。
マネーゲーム状態の「晴海フラッグ」、世帯年収1,500万円の30代パワーカップルの宮崎出身妻「喉から手が出るほどタワマンが欲しい」…衝撃の決着【FPの助言】 (※画像はイメージです/PIXTA)

転売が相次いだ選手村マンション「晴海フラッグ」

「HARUMI FLAG(晴海フラッグ)」は、東京五輪・パラリンピックの選手村跡地に建つマンション群です。大手不動産会社11社が、東京都から都有地を購入して再開発事業を手掛けました。

 

最寄りの都営大江戸線・勝どき駅から徒歩で20分と多少不便ですが、銀座から約2.5キロ、東京駅からは約3.3キロという抜群の立地にあります。2019年の売り出しのときは破格の価格で話題になりました。オリンピックの負のレガシーとならないようとにかく売りさばく必要があったのです。分譲棟の抽選は回を追うごとに加熱。最大で266倍という異常な倍率を記録しました。

 

しかしすぐに問題が発覚します。「転売」目的の投資家が格安のこの物件を大量に購入していることがわかったのです。購入できた投資家が高額な利益の上乗せをして不動産売買サイトに掲載され大問題に発展していきました。

 

購入者のなかには1人で10棟、20棟と現金で購入した外国人投資家も少なくないと言われています。日本に住む大人数の同胞から名義を借り、抽選に応募し数多くの物件を仕入れたのです。その部屋は今後運用され、時期がやってくれば売却しキャピタルゲインを得るという流れです。

 

格安の物件であるうえに円安が後押しをし、晴海フラッグは「マネーゲーム」の様相を呈してきたわけです。しかしながら「転売益が上乗せされていても欲しい」という購入希望者層が存在し、1億円を超える価格を出して「居住目的」で購入している状態です。

 

この状況は、現在のマンション価格の高騰の様子を理解するのに役立ちます。高騰の理由は以下のようにまとめることができます。

 

・建材価格の上昇
・供給戸数の減少
・地価の上昇
・円安による外国人投資家の参入
・アベノミクス政策で誕生した新しい富裕層
・富裕層についていこうとする「パワーカップル」

 

このなかでのポイントは「投資マネー」「新しい富裕層」「パワーカップル」です。現在のマンション価格の高騰は、「投資マネーに相場が引っ張られ、新しい富裕層が買い、それに憧れるパワーカップルがリスクを抱える」という構図が実情かもしれません。ここではあるパワーカップルの様子を事例として紹介します。