2030年空き家問題
2030年空き家問題という言葉を聞いたことがあるでしょうか。
2030年は団塊の世代(1947年~1949年生まれ)が相続の時を迎える時期です。日本で最も人口ボリュームの大きなこの世代が次世代にバトンタッチすることによって、生まれるのが「空き家」です。団塊世代の子供世代、団塊ジュニア世代(1971年~1974年生まれ)は2030年には60代を迎えます。この世代にとっての親の世代の家(実家)を相続しても自分たちは既に自宅を購入しているため使い道がなく、多くは売りに出すことになります。
野村総合研究所によると2030年には空き家率が30%になると予想されています。2024年4月30日に総務省が発表した空き家率は13.8%なので、今後急激な増加に向かうことになります。このことにより、住宅は完全な供給過剰に陥り住宅価格が下がっていくという予測されています。しかし古いマンションや戸建て住宅に需要があるのでしょうか。日本ではこれまで新築住宅を優先する価値観があったはずです。特に戸建てでは中古市場が成熟していません。
ところが1980年代~1990年代に新築された建物であれば、2030年で築40年~50年。確かに古い建物ですが1981年に建築基準法が改正されていて、それ以前の建物と比べ耐震性能が上がっています。現代の建物と比較すると耐震、断熱、気密などの性能ははるかに劣るものの、ある程度のリノベーションで十分住めるようになるでしょう。
性能が劣るため光熱費などの負担は増えるかもしれませんが、もし会社員世帯が住宅ローンを借りることなく購入できるほど中古価格が下がってしまえば、家計上の負担はさほどでもありません。
もちろん2030年でも富裕層が購入する高級マンションは開発が進むはずです。しかし会社員世帯にとってのマイホーム選びは、もっと多様な価値観で臨むことができるようになるかもしれません。手持ちの現金で買える家を買う、家は何度でも安く買って住み替えていく、中古住宅にリノベーションをして住み価値を上げて売却する、そのような日本では見られなかったさまざまな価値観が生まれたら、住宅業界は激変します。
住宅ローンに縛られない暮らしをする時代が今のZ世代から下の世代で常識となるのかもしれません。
長岡 理知
長岡FP事務所
代表