遺族年金が廃止になる!? そんな話が広がっていますが、確かに改正の動きはあるものの、影響があるのは一部の人たち。ホッとひと安心、といきたいところですが、パートナーが亡くなったとき、誰もが十分な遺族年金を受け取れるとは限らないようです。
年金31万円の仲良し夫婦、72歳夫急逝に68歳妻が号泣。さらに旧友から「意外ともらえる」と聞いていた遺族年金が〈まさかの金額〉で二度目の号泣「計算、間違えているのでは?」 (※写真はイメージです/PIXTA)

「遺族年金が廃止される」の噂の真相

遺族年金の噂が広まり、関係者が火消しに必死に……今年、そんなことが起きました。それは

 

――2025年に遺族年金が廃止になるらしい

 

結論からいうと、それは(いまのところ)噂でしかありません。それがSNSを中心に広まったのは、令和5年に行われた厚生労働省「第6回社会保障審議会年金部会」の資料の一部が広まったせい。その資料では「①子のない配偶者への遺族厚生年金」「②男性は受け取ることができない中高齢寡婦加算」「③子に対する遺族基礎年金」について課題提起されました。しかし①の内容が大きく報道されると、「遺族年金は廃止になるらしい」という噂がまことしやかにささやかれるようになったのです。

 

見直しが検討されたのは、20~50代の子のない配偶者が亡くなった場合、遺族年金を男女ともに5年に統一するというもの。そもそも現行では、以下の4パターン。

 

・夫を亡くした30歳未満の子のない妻は5年間の給付

・夫を亡くした30歳以上の子のない妻は一生受け取れる

・妻を亡くした55歳未満の子ないし夫は給付なし

・妻を亡くした55歳以上の夫は60歳から給付

 

女性が優遇されているうえ、共働き世帯が専業主婦世帯の倍以上というなか、時代にそぐわないという批判がありました。そこで現状に即し、男女ともに20~50代で子のない場合は5年間の給付に統一するよう、見直しがいわれているのです。

 

――年金が頼りだったのに……私の老後は終わった

 

そんなコメントも多くみられましたが、あくまでも見直しは20~50代の子のない場合。年金が生活を支える高齢者には関係ありません。

 

亡くなった配偶者が厚生年金の加入歴があれば受け取ることのできる「遺族厚生年金」。国民年金に由来する「遺族基礎年金」は子の要件があるので、そもそも子どもがいない場合や、すでに子が成人してしまった場合は対象外。それに対し、遺族厚生年金は子の要件はなく、年金世代であっても受け取れるもの。遺族年金廃止の噂を聞いて「年金が頼りだったのに……」と嘆く人たちは、ひと安心といったところ。