住み心地「最初は良かったですね……」
継いだのは湾岸にそびえたつタワマンですが、一人暮らし向きの1DKとコンパクトな物件です。その住み心地について、山本さんは「最高でした」と語ります。
「最初は良かったですね……。湾岸なだけあって景色が抜群です。ジムも使えて、ゴミ捨ても楽。面倒なご近所づきあいも特にないし、永遠にここに住みたいと考えていました」
タワマン生活を存分に楽しんでいたという山本さん。不満は一切なかったのでしょうか。
「強いて言うなら『タワマンから出るまで時間がかかる』ってことでしょうか……。駅チカが売りの建物なんですけど、『建物の外』に行くだけで5分かかるので、実質10分ぐらい歩くんですよね。結構めんどくさいです」
そして、山本さんは「あと、まだ気になっていることがあって」と続けます。
「管理費と修繕積立金が結構高いんですよね。築年数が結構経っていますから、そろそろ大規模修繕が始まる予定で。このまま持ち家として住み続けていいのかどうか……。都心の一等地のタワマンならまだしも……」
一般的にマンションは築12~18年ほどで大規模修繕をおこないますが、タワマンには数年前から修繕ラッシュが起きています。しかもタワマンは設備が複雑なため、修繕費が一般的なマンションよりも高くつきます。
そこで修繕費の積立不足などが露呈し、年々徴収される費用は高くなり……、頭を抱える人が多いようです。
国土交通省『令和3年度 マンション大規模修繕工事に関する実態調査』によると、タワーマンションの大規模修繕では大規模修繕工事の1戸あたりの負担額は、「125万円〜150万円」22.0%、「150万円〜175万円」22.0%、「75万円~100万円」14.6%、「100万円~125万円」14.6%です。
この調査は5年に一度行われており、前回調査では「75万円~100万円」30.6%、「100万円~125万円」24.7%、「50万円~75万円」13.8%でしたから、ぐんと高くなっていることがわかります。
相続で資産を手に入れた山本さん。当初こそ喜んだものの「このまま住み続けていいのか」と頭を悩ませています。
「彼女との結婚が決まったら、賃貸に出したいとは考えていました。家族で暮らすには狭いですし。……ただ賃貸のオーナーになるのもリスクありますよねえ。やっぱり売っちゃったほうがいいんですかね」
不動産という資産が抱えるリスク。「賃貸 vs 持ち家」論争は永遠に解決しないものの、「相続財産としての不動産」は、はたして本当に受け継いでいいものか、慎重な対応が求められます。
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