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「シンガポール校」「インター校」の特徴とメリット
小峰:現地の早稲田アカデミーには「シンガポール校」と「インター校」という2校舎ありますが、どういった役割分担となっているのでしょうか?
塩澤:シンガポール校は、日本人学校やインターナショナルスクールに通っている生徒が在籍しております。バックグラウンドが違う生徒たちが、日本の中学受験・高校受験・大学受験を目標として日々勉強しています。一方、インター校は、2017年に新しく建てられた校舎で、インターナショナルスクールと現地校に通う生徒だけを対象にしています。これらの学校は、日本人学校とスケジュールやコンセプトが異なるため、特別の講座やスケジュールが構成されています。
小峰:なるほど。
塩澤:シンガポール校では、小学生向けの中学受験クラスは、1学年30~40人、算数・国語は3クラス、理科・社会は2クラスの習熟度別に学習しています。
小峰:海外の中学受験塾としては人数が多い方ですね。帰国生として中学受験をするメリットはどこにありますか?
塩澤:一番大きいのは、帰国生入試を受ける資格を得られることでしょう。中学入試は、東京の場合、2月1日午後や2月2日・3日に受験が行われる学校もありますが、2月1日午前中に行われる学校が圧倒的に多く、1人で3校くらいしか受験できません。しかし、帰国生入試は、12月から1月にかけてバラバラな日程で実施されますから、帰国生入試だけで3校くらい受験する生徒が多いです。加えて一般生入試を受けることもできますから、受験チャンスが2倍に増えるといって良いでしょう。
帰国生入試、ネイティブスピーカーにも難しい英語の出題も…
小峰:帰国生入試では、英語が受験科目に入っている学校が多いですが、英語のレベルはいかがでしょうか?
塩澤:学校によって異なりますが、人気校の入試レベルは軒並み高いです。なかでも渋谷教育学園(渋谷、幕張)、広尾学園などはハイレベルな英語が求められています。日本人学校で英語を勉強してきた生徒では太刀打ちできないでしょう。
小峰:インターナショナルスクールに2、3年通っている生徒であれば、大丈夫と思ってよいでしょうか?
塩澤:インターナショナルスクールも学校によってレベルに差があって、英語力ゼロの子も受け入れるような学校ですと、2、3年通っても文法があいまいな子もいます。早稲田アカデミーシンガポール校の英語講師には日本人・ネイティブスピーカーともいますので、帰国生入試に合格できるように文法などの基礎から鍛えていきます。
小峰:先ほど言及された渋谷教育学園(渋谷、幕張)、広尾学園などの合格には、どれくらいの英語力が必要でしょうか?
塩澤:このレベルの学校に合格した卒業生ですと、TOEFLのテストで、小学6年生夏で80点台、その後の受験で90点台というレベルです。英語力が必要なのは当然ですが、大人向けの文章でも理解できる思考力も必要です。渋谷教育学園渋谷中学校の入試では、英語の試験で詩が出題されるのですが、ネイティブスピーカーが解いても難しいほどの問題です。それを解けるほど英語力の高い日本人小学生がいるのです。
小峰:合格実績を見ますと、帰国生入試を実施していない学校に合格した生徒さんもいらっしゃいます。英語をまったくやらず、算数・国語・理科・社会だけ勉強したのでしょうか?
塩澤:小学校低学年の間に英語を身につけ、4年生から算数・国語・理科・社会の勉強をして、一般入試で開成中学や筑波大学付属駒場のようなトップ校に合格する子もいます。
小峰:どちらのタイプも、スーパー小学生ですね…。
塩澤:スーパー小学生でなく普通の小学生であっても、小学校低学年のうちに海外で英語を身につけて、中学受験で帰国生入試を受ければ、圧倒的に有利でしょう。帰国生というゲタを履くことでワンランク上の学校に入れると言ってよいでしょう。
高校受験の英語科目、帰国生なら有利に戦える
小峰:高校受験はいかがでしょうか?
塩澤:中学受験と比べると、帰国生向けに別枠を設けている学校はそれほど多くありません。とはいえ、高校受験では英語が科目に入りますから、日本国内で勉強してきた生徒と比べ英語で大差をつけられますから、有利なことは間違いないです。
小峰:早稲田アカデミー シンガポール校からの進学先はどのあたりでしょうか?
塩澤:合格実績を見て頂くと分かるように、大学の付属校が比較的多いです。寮の完備した付属校が多いこと、首都圏の私立校は中高一貫で高校入試を実施していない学校が多いこと、大学までそのまま進学できる方が安心ということがあるのだろうと思います(シンガポール校合格実績)。
小峰:「公立高校受験では内申点が重要」とよくいわれますが、帰国生の内申点はどうなのでしょうか?
塩澤:インターナショナルスクールの場合、学校によって内申点の基準がまちまちであり、各高校もその基準を判断できませんから、内申点において不利にならないようにするという申し合わせがされています。ざっくり言って、インターナショナルスクールに通う生徒は、内申点をあまり気にしなくてよいと言えそうです。一方、日本人学校に通っている生徒は内申点を気にしなくてはいけません。
シンガポールにいながら「早稲田大学の系属校」に学ぶ
小峰:シンガポールで高校進学というと、早稲田大学系属早稲田渋谷シンガポール校(早稲田渋谷)が気になります。どういう生徒さんにお勧めですか?
塩澤:この学校には寮があります。両親が日本に帰国した後もお子さんはこの学校の寮に入ってシンガポールに残ることができるので、駐在でシンガポールに来たけれども帰国するタイミングが未定というご家庭のお子さんに、お勧めできます。
小峰:早稲田大学に推薦で入学しやすいと思うのですが、この点はいかがでしょうか?
塩澤:たしかに、1学年100人に対して早稲田大学の推薦が88人分、実際に推薦で早稲田大学に進学しているのは70名弱くらいです。学年の真ん中くらいの成績を取らないと早稲田大学に進学できませんから、高校合格で早稲田大学進学が約束される訳ではありません。そうは言っても、真ん中以上であれば早稲田大学に進学できるというのは大きいです(2025年度入試から定員が120名に増え、2025年度入学生の卒業時98名に推薦枠の増枠)。
日本への帰国はいつごろがベストなのか?
小峰:受験の観点からは、いつごろ帰国して受験に備えるのがベストでしょうか?
塩澤:シンガポールの場合は学習環境が整っているために、どのタイミングで帰国しても大きく合否に影響をしない印象です。ただ、最後の受験熱を肌で感じてほしいので、中学受験の場合であれば、小学6年の12月末(2学期終了時点)での帰国をお勧めします。早稲田アカデミーでは上位校向けのNN/必勝という様々な志望校別特別コースがあります。最後の最後に同じ志望校の仲間と一緒に汗をかくのはかけがえのない時間です。
小峰:受験勉強の途中で帰国した場合、日本の早稲田アカデミーで引き継いでもらえますか?
塩澤:もちろんです。算数・国語・理科・社会の勉強を引き継ぐのはもちろん、帰国生入試の英語は早稲田アカデミーの「LOGOS」で指導を引き継いでいきます。
小峰:心強いですね。今日はお話をありがとうございました。
小峰 孝史
OWL Investments
マネージングディレクター・弁護士
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