(※写真はイメージです/PIXTA)

わが子に生きた英語を学ばせるため、小中学生から海外留学させる家庭が増えています。なかでもマレーシアのクアラルンプールでは「母子留学」というスタイルがトレンドです。現地でお子さんを学ばせている方を取材し、レポートします。※本記事は、OWL Investmentsのマネージング・ディレクターの小峰孝史弁護士が監修、OWL Investmentsが執筆・編集したものです。

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クアラルンプールのインターナショナルスクールの特徴は、母子だけで暮らす「母子留学」の家庭が多いこと。その現状を知るべく、2023年から母子でクアラルンプールに暮し、お子さんをインターナショナルスクールに通わせている山崎さん(仮名)にお話を伺いました。

「インターナショナルバカロレア」のスクールが肌に合わず…

小峰:クアラルンプールに引っ越して来られたのはいつですか?

 

山崎さん:2023年の9月です。息子はいま11歳で、日本の学校でいうと小学6年生です。通っているインターナショナルスクールではYear6の学年です。

 

小峰:学校はどのように選びましたか?

 

山崎さん:まず、インターネットで探しました。アメリカ系やオーストラリア系の学校も気になりましたが、環境や立地が合わないと思い、選択肢から外しました。

 

小峰:いま、海外志向の親御さんの間では、インターナショナルバカロレア(IB)が人気だと思いますが、IBも考えられましたか?

 

※ インターナショナルバカロレア(国際バカロレア、IB)とは、スイスのジュネーブに本部がある「国際バカロレア機構(IBO)」が作った学習プログラムで、この機構から承認された学校では、世界中どこにいても同水準の教育を受けることができ、必要な条件を満たせば世界各国の大学への入学資格を得ることができます。

 

山崎さん:日本に住んでいたころ、息子はIBのインターナショナルスクールに通っていました。ただ、IBは、勉強をどんどん先に進める子には合っているのだと思いますが、うちの子には合わなかったため、IBの学校は選択肢から外していました。

 

小峰:なるほど。候補となる学校は、どのように絞り込みましたか?

 

山崎さん:学校のウェブサイトで情報収集してから、YouTubeで雰囲気を見ました。その後、3、4校に候補を絞ってから学校見学をして、日本人が多すぎないこと、ネイティブスピーカーの先生がどれくらいいるかを見て決めました。

「日本人生徒が多すぎる学校」を回避したワケ

小峰:学校見学はどのように準備されたのでしょうか?

 

山崎さん:エージェントを通して準備しました。「見学したいので時間を取ってほしい」という学校への連絡と、見学の同行をアレンジしてもらいました。

 

小峰:それは安心ですね!

 

山崎さん:ただ、エージェントによっては、特定の学校とズブズブの関係で、日本人顧客の子どもをその学校にどんどん送ってしまうこともあるようです。そうした学校は、日本人の生徒が多すぎて、日本人同士で固まってしまい、英語力が伸びないという問題があるようです。

 

小峰:それでは、海外のインターナショナルスクールに通っている意味がなくなってしまいますね…。

 

山崎さん:はい。ですので、実際に学校見学をして、日本人の生徒がどれくらいいるのかを確認するべきだと思います。日本人が多すぎる学校に通っている生徒の場合、英語力が伸びないため、オンライン英会話を受けている子もいると聞きます。

現在の学校は日本人比率が15%程度で、英語も学びやすい環境

小峰:いま息子さんが通っている学校は、どのような学校ですか?

 

山崎さん:カナダのオンタリオ州のシステムで学べる学校に通っています。

 

小峰:カナダのオンタリオ州のシステムは、いかがですか?

 

山崎さん:基本的に、平常点が7割でテストが3割です。そのため、宿題などの課題をきちんと提出し、協調性をもってほかの生徒と普段の学校生活を送れるなら、点数は問題ありません。英語をいまから身につけていかなくてはいけない日本人の子には、フィットするシステムだと思います。

 

小峰:インターナショナルスクールの場合、教科書を1ページ目から教えていくというスタイルではないと思います。勉強の進み具合を親が把握できないということはありませんか?

 

山崎さん:たしかに、教科書を1ページ目から教えていくというカリキュラムではありませんが、三者面談がかなり多く、親は勉強の進み具合を把握しやすいと思います。三者面談で通訳を使うこともできますから、英語が苦手でも問題ないと思います。

 

小峰:生徒の国籍はどれくらいの比率でしょうか?

 

山崎さん:肌感覚ではありますが、マレーシア人25%、中華系25%、韓国人15%、日本人15%、その他20%といった感じです。先生は基本的にカナダ人です。

 

小峰:その比率だと、日本人が多すぎるということもありませんから、英語を身につける環境としてよさそうですね。マレーシアに来てから英語を始めたお子さんも、英語力が伸びるのではないでしょうか?

 

山崎さん:ママ友の話ですが、2、3年前にお嬢さんと一緒にマレーシアに来た当初は、本人もお嬢さんも英語はまったくできない状態だったそうです。ですが、お嬢さんにマレーシア人の親友ができたことで、1年間で物凄く英語が話せるようになったと聞きました。

 

小峰:それはいいですね!

 

山崎さん:お嬢さんの親友のおうちがたまたまカトリック教徒で、パーティ好きだったため、パーティにもよく呼ばれ、英語で話す機会が多かったことも影響したかもしれないそうです。英語を話すお友達と、英語でおしゃべりすることは、英語の上達に繋がるといいますから…。

インターナショナルスクールからの進路と、家庭環境の傾向

小峰:山崎さんは、息子さんの将来の進路についてどのようにお考えですか? また、周囲にいらっしゃる方々は、どのようなお考えをお持ちですか?

 

山崎さん:まだ11歳なので、先の話にはなりますが、アメリカかカナダの大学に進学してほしいと思っています。周囲の方々ですが、幼稚園や小学生のお子さんの場合は、英語ができるようになることを目的とされている方が多いようです。中学生・高校生のお子さんの場合は、海外の大学への進学を目標にしている方が増えてきます。

 

小峰:なるほど。マレーシアでお子さんを教育されている方々の特徴について、お気づきの点があったら教えてください。

 

山崎さん:マレーシアで子育てをしている日本人の方々は、「マレーシアに何年住む」といった予定を立てて来ている方と、予定を立てずに来ている人の、2タイプに分けられるように思います。

 

小峰:マレーシアへの居住期間について、明確な期限を設けている方と、設けていない方がいらっしゃるのですね。

 

山崎さん:はい。予定を立てて来ている方は、ご主人が日本でお勤めの方が多いのですが、シングルマザーの方もいらっしゃいます。なかには、マレーシアに来てからリモートワークやフリーランスとして仕事をしている方もいらっしゃいます。一方、予定を立てていない方は、 ご主人が経営者の方が大半で、なかには投資収入で暮らしている方もいらっしゃいます。

 

小峰:さまざまな母子留学のタイプがあるのですね。とても興味深い話をありがとうございました。

 

 

小峰 孝史
OWL Investments
マネージングディレクター・弁護士

 

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