Aさんは語る「自分の老後を考えると、不安があります…」
Aさんは、何とか両親の老後を安心して過ごさせるために、公的支援や介護サービスの利用も検討しています。特別養護老人ホーム(特養)は、費用が比較的安価で済む場合がありますが、入居待ちが長いのが現実です。また、介護保険を利用した在宅介護サービスも一つの選択肢ですが、それでもAさん自身の負担が軽減されるわけではありません。
「特養は費用が抑えられる分、入居待ちが非常に長いのが難点です。在宅介護サービスも検討しましたが、日中仕事をしている自分には、両親の介護を完全に任せられるわけではありません。結局、自分が両親の面倒を見続けるしかないのかと、途方に暮れることもあります」とAさんは言います。
さらにAさん自身も40代半ばに差し掛かり、自分の将来についても考えざるを得ません。独身で子どもがいないため、両親と同じように自分も老後に対する備えをしっかりとしておかなければならないというプレッシャーがあります。
しかし、現状では両親の介護に多くの時間と資金を費やしており、自分のための貯蓄が思うように進んでいません。
「自分の老後を考えると、今の両親の状況がそのまま自分に重なるのではないかという不安があります。ただ自分の場合は、独身で子どもがいないので、老後に誰かの世話になることは難しいと感じています」とAさんは語ります。
Aさんのような一人っ子で独身の男性が直面する問題は、多くの現代日本人が抱える課題ともいえます。親の老後をどう支えるか、そして自分自身の老後をどう準備するかという二重の問題に直面しているのです。親の貯蓄がない場合、その負担は子どもに直接のしかかります。
公的支援や介護サービスの充実が求められる一方で、個人としても将来に備えるための計画と貯蓄が重要です。しかし、現実にはその両方を同時に進めるのは容易ではありません。Aさんのようなケースが増える中、社会全体で高齢者支援の仕組みを見直し、家族の負担を軽減するための具体的な対策が求められています。