今回は、相続財産の分割でポイントとなる「特別受益額」の有無について見ていきます。※本連載は、税理士・田中潤氏著『きっと今までになかった相続の権利調整を考える本』(メディアパル)から一部を抜粋し、相続を円滑に進める「権利調整」について、分かりやすく解説します。

大学の入学金や結婚式費用は「特別受益額」か!?

法定相続分のとおりに相続を進めようとした場合、相続の時点の被相続人名義の財産の他に生前に被相続人から相続人が受け取った贈与財産も加えて全体の財産を確定した上で、それを基礎に法定相続分を決めることになります。

 

この、生前もらっていた財産を特別受益額といいますが、これが中々はっきり分からないことが多いようです。

 

例えば、大学の入学金や結婚式費用などは、かなりの金額になりますが、扶養家族の中での生活資金の援助なので特別受益額とはいい切れないところもあります。

 

マンションの購入など不動産を取得した時の援助のように、はっきりした形で500万円〜1000万円のキャッシュでの贈与があった場合には、その人への特別受益額として持ち戻し(相続財産への加算)が行なわれることになります。

相続は「合理性」だけでは割り切れない

相続人同士が相続財産の分割方法で争いになれば、特別受益額の有る無しは必ず重要なテーマとして浮上します。

 

ただ、元々相続は、必ず法定相続通りに分けなければならないものではなく、相続人同士の合意でいかようにも分割できるものです。とりあえず生前の特別受益額を勘案しながらも、お互いにあまり数字を意識せずに適当な所で分割を考える方が長い目で見れば円満な相続につながると言えます。

 

相続においては、日々生じる一つ一つのことを合理性だけで割り切ろうとすると大きなリスクが待っています。

きっと今までになかった相続の権利調整を考える本

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田中 潤

メディアパル

生前そして亡くなってからの様々な場面で被相続人・相続人が示す判断、それは家族の幸せと 一族の平和を守る為の活動であり、そこでのコミュニケーションこそ相続の権利調整です。本書では、イラストと漫画で様々な相続案件を…

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