きょうだいから財産を相続するため、養子に入るというケースがあります。しかし、そのきょうだいに実子がいる場合、その実子にも相続を受ける権利は発生するため、遺産分割協議を行わなければなりません。どのように対応すればよいのでしょうか? 本稿では、古尾谷裕昭氏監修の『生前と死後の手続きがきちんとわかる 今さら聞けない 相続・贈与の超基本』(朝日新聞出版)より一部を抜粋し、相談事例をもとに相続の対応法を解説します。

相続のため、姉の養子になったが…

Q、57歳女性・団体職員の相談

両親は早くに亡くなり、独り身だった姉は生前、遺産相続させるべく私を養子にしてくれました。ただ、姉には若いときに生んだ息子がいると生前聞いたことがあります。

 

この場合、当然、姉の息子にも相続の権利がありますよね。ただ、会ったこともない相手にどう切り出すか、相手からどんな反応が返ってくるかなど、あれこれ悩んでしまいます……。

 

A、税理士の回答

まずはあなたの甥御さんが現在どこに住んでいらっしゃるのか、所在を特定することから始めましょう。お姉様の戸籍調査を行うことによって甥御さんの本籍地が明らかになると思います。

 

その本籍地の役場で「戸籍の附票」という書類を発行してもらいましょう。戸籍の附票には現在の住民票がある住所が記載されています。

 

実際に会ったりお話ししたりすることに抵抗がなければ、その住所に手紙を送り、事情を説明して一度会いたいとの申し入れをするとよいでしょう。

 

手紙が届かず返ってきてしまった場合は、現地に赴いて、住んでいるかどうかを確認する必要があります。その住所に不在で、現在の居所がわからない場合は、家庭裁判所に「不在者財産管理人」の選任を申し立てたうえで遺産分割協議を進めます。

 

法定相続分に応じて財産分割を進めるのであれば、取得分はあなたと甥御さんで等分になります。もし、実際に会うことを戸惑っておられるようなら、まずは弁護士などを通じてコンタクトをとってみるのもよいかもしれません。

 

あなたの親族でもあり、お姉様の思い出を分かち合える立場の方です。最終的には直接お会いしてお話しされたほうが、お姉様のお気持ちに沿うことにもつながるでしょう。

 

ただ、相手からどんな反応があるか不安という気持ちが強いのであれば、いったん弁護士に様子をみてもらったほうが、心の準備もしやすいのではないでしょうか。

 

【関連記事】

■税務調査官「出身はどちらですか?」の真意…税務調査で“やり手の調査官”が聞いてくる「3つの質問」【税理士が解説】

 

■親が「総額3,000万円」を子・孫の口座にこっそり貯金…家族も知らないのに「税務署」には“バレる”ワケ【税理士が解説】

 

■月22万円もらえるはずが…65歳・元会社員夫婦「年金ルール」知らず、想定外の年金減額「何かの間違いでは?」

 

■「もはや無法地帯」2億円・港区の超高級タワマンで起きている異変…世帯年収2000万円の男性が〈豊洲タワマンからの転居〉を大後悔するワケ

 

■「NISAで1,300万円消えた…。」銀行員のアドバイスで、退職金運用を始めた“年金25万円の60代夫婦”…年金に上乗せでゆとりの老後のはずが、一転、破産危機【FPが解説】

 

 

注目のセミナー情報

【国内不動産】7月11日(木)開催
築15年でも家賃下落が起きないアパートの秘密を150棟の設計を行ってきた「プロの設計士」がお伝えします!
入居者ニーズを満たした“こだわりすぎなアパート”を徹底解剖

 

【海外不動産】7月20日(土)開催
海外不動産の投資手法をアップデート!
日本国内の銀行融資を活用した
最新・ベトナム不動産投資戦略

 

【税金】7月23日(火)開催
「富裕層を熟知した税理士」が教える
2024年最新【所得税×インフレ】対策
~今後の手残りが3割変わる!?「所得税対策」~

生前と死後の手続きがきちんとわかる 今さら聞けない 相続・贈与の超基本

生前と死後の手続きがきちんとわかる 今さら聞けない 相続・贈与の超基本

古尾谷 裕昭

朝日新聞出版

超基本シリーズ第8弾のテーマは「相続」。相続とは一体何なのか?から、個別の事例まで、"これが知りたかった!"がスッキリわかる。別冊には、「書き込み式エンディングノートドリル」つきで、今の自分や家族の資産や負債をま…

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録