●CPIはコア指数の前月比伸び率に注目、予想通り0.3%程度なら市場は落ち着いた反応となろう。
●為替は小幅なドル安・円高、日経平均は米株に連れ高を予想、スーパーコア指数の伸びも注目。
●小売売上高も同時発表されるため、結果の組み合わせ次第で市場の反応と解釈はやや複雑に。
CPIはコア指数の前月比伸び率に注目、予想通り0.3%程度なら市場は落ち着いた反応となろう
本日5月15日は、米国で4月の消費者物価指数(CPI)が発表されます。市場予想では、前月比0.4%上昇(3月は0.4%上昇)、前年同月比3.4%上昇(同3.5%上昇)となっており、エネルギーと食品を除くコア指数は、前月比0.3%上昇(4月は0.4%上昇)、前年同月比3.6%上昇(同3.8%上昇)となっています。インフレは若干落ち着くとの見通しですが、以下、今回の注目点とシナリオ別に予想される市場の反応について考えます。
弊社は引き続き、コア指数のうち、物価の瞬間風速を示す前月比の伸び率を注視しています。年明け以降の実績値を、小数点第3位まで詳細にみていくと、1月は0.392%、2月は0.358%、3月は0.359%となっています。仮に今回、予想通り0.3%付近での着地となれば、インフレの伸びの鈍化が確認されることになるため、米金融市場では年内の利下げ期待が維持され、長期金利低下、ドル安、株高の反応が予想されます。
為替は小幅なドル安・円高、日経平均は米株に連れ高を予想、スーパーコア指数の伸びも注目
この場合、ドル円はドル安・円高方向に振れる動きが見込まれますが、物価の伸びが予想の範囲内であれば、振れ幅はそれほど大きくならず、1円程度にとどまると思われます。日経平均株価は、円高を嫌気するよりも、米インフレの沈静化や利下げ期待の維持、米株高を好感する可能性が高いと考えており、株高で反応し、39,000円台の回復が1つの目安になるとみています。
もう1つの注目点は「スーパーコア指数」です。これはコア指数を構成するサービス指数から家賃を除いた指数で、米連邦準備制度理事会(FRB)がインフレをはかる材料として重視しています。スーパーコア指数はこのところ、前月比、前年比とも上昇基調にあるため(図表1)、今回、こちらも伸びの鈍化が確認されれば、日米とも株価の上昇幅が一段と拡大する展開が期待されます。
小売売上高も同時発表されるため、結果の組み合わせ次第で市場の反応と解釈はやや複雑に
なお、今回は同日の同時刻(日本時間午後9時30分)に、4月の米小売売上高も発表されるため、小売売上高とCPIの結果の組み合わせ次第で、相場の動きが異なり、その解釈もやや複雑になります。結果の組み合わせと予想される市場の反応をまとめたものが図表2です。市場にもっとも好ましい組み合わせは、CPIの伸びの鈍化と小売売上高の緩やかな減少で、利下げ期待が日米の株価を支える反応が見込まれます。
もっとも好ましくない組み合わせは、CPIの伸びの加速と小売売上高の大幅な減少です。この場合、スタグフレーション(インフレと景気停滞の併存)への警戒が強まり、日米とも株価は大きく下落する恐れがあります。弊社はこの先、米インフレが緩やかに減速し、9月と12月に25ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)ずつ利下げが行われ、景気の冷え込みは回避と予想しており、好ましい組み合わせに近い結果となる公算が大きいとみています。
(2024年5月15日)
※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『米CPIが“予想通り”なら「小幅なドル安・円高」「日経平均39,000円台回復」も【解説:三井住友DSアセットマネジメント・チーフマーケットストラテジスト】』を参照)。
市川 雅浩
三井住友DSアセットマネジメント株式会社
チーフマーケットストラテジスト
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