年金事務所で聞いてみよう…決心したAさん
Aさんは当初、「それぞれ短期間のアルバイトみたいなものだったし、厚生年金には入っていなかったのかな」「ずいぶん前のことだし、いまさら言っても仕方ないかもな」などと諦めムードでした。しかし、確かに働いたはずのX社とY社の記録がなかったことになっているのは、どうにも納得がいきません。
数日もやもやしていたAさんは「うーん……やっぱり気になるな。ダメもとで調べてもらったらスッキリするかもしれない。自分の年金のことももっと詳しく知りたいし、年金事務所に行ってちゃんと聞いてみよう」と決心。後日、ねんきん定期便を持って年金事務所へ向かいました。
“まさかの展開”にAさん歓喜…年金受給額が増額されることに
年金事務所では、自身の年金に関する説明を受けることができます。そして、年金の記録についても確認してもらえることになっています。
Aさんは、ねんきん定期便に記載のとおり65歳から年金を受給することができること、繰下げ受給によって年金受給額の増額が可能となることなど、年金制度の基本を教えてもらいました。
そして、かつて若い頃にX社とY社に勤務していたこと、それぞれの勤務地など、当時のことを伝えました。職員がすぐに確認したところ、ねんきん定期便に記載されていなかったX社とY社、両方の厚生年金の記録が判明したのです。
厚生年金の加入期間は、X社とY社あわせて約10ヵ月。X社とY社の記録はずっと持ち主不明の記録のままとなっていましたが、ここでAさんの記録と判明したため、Aさんの加入記録に、この10ヵ月の厚生年金記録が追加されることになりました。
Aさんは職員から「X社とY社の記録をAさんの記録として追加した結果、65歳からの年金受給額が増えます。増加額は年1万円程度ですが、65歳から生涯受給できるとなると、生涯で20万円以上になるかもしれません」との案内を受けました。
「危うく損していたところだ! 危なかった……調べてくれてありがとう、助かったよ」
そもそも、年額1万円の増加分は、元々Aさんの年金です。ただAさんは、X社とY社での厚生年金の加入記録が判明するとは思っていなかったため、年金が増えると知り得をした気分に。窓口の職員に感謝を伝えて、年金事務所をあとにしたのでした。