年金、あと5年でいくら増やせますか?〈ねんきん定期便〉に書かれた「月16万円」では老後が不安…定年直前59歳男性の切実な願い【CFPの助言】

年金、あと5年でいくら増やせますか?〈ねんきん定期便〉に書かれた「月16万円」では老後が不安…定年直前59歳男性の切実な願い【CFPの助言】
(※写真はイメージです/PIXTA)

「年金だけでは生活費がまかなえない」と、定年後も再雇用で働く人が増えています。しかし、再雇用は多くの場合、給与が大幅に下がってしまいます。中小企業に勤める59歳のAさんも、定年後の暮らしに不安を抱え「年金をもっと増やすことはできないのか?」と株式会社よこはまライフプランニング代表取締役の井内義典CFPのもとに相談に訪れました。筆者はAさんにどのような助言を行ったのか、みていきます。

60歳以降も働けば、まだまだ年金は増やせる

Aさんがもっとも気にしている将来の年金額についても、現時点では月16万円ちょっとの見込みですが、 60歳から65歳まで年収400万円で5年間勤務すれば、老齢厚生年金(報酬比例部分)が年額10万円超(月額約8,500円)増えることになります。そうなると、65歳からの年金は月17万円程度です。

 

これはつまり、年金を増やすチャンスは今後もあるということです。月8,500円というと「少ないな」と感じるかもしれませんが、これが生涯続くとなると、増やさないままよりは安心できます。

 

また、65歳以降も70歳まで働けば、給与は年収240万円と減ってしまいますが、年金はさらに月5,000円超増え、月17万5,000円になります。

「年金の繰下げ受給」を選べば、さらに増額可能

60歳以降も働く意思があるAさん。65歳まで働けば「高年齢雇用継続給付」が受けられ、65歳以降も給与収入があるようでしたら、65歳からすぐに年金に頼らずとも生活していけるかもしれません。

 

そうなると、「年金の繰下げ受給」も検討に値します。年金の繰下げ受給とは、65歳から受給できる年金の受給開始を遅らせる代わりに、その分増額した年金を受け取れる制度です。

 

「ねんきん定期便」にも繰下げ制度について記載がありますが、1ヵ月繰り下げるごとに0.7%ずつ増額されます。

 

具体的にみていくと、もし、Aさんが65歳から5年(60ヵ月)待って70歳から繰下げ受給をした場合、65歳時点での額に対し42%(0.7%×60ヵ月)プラスとなるため、月17万円×42%で年金は月額24万円超となります。さらに、65歳から70歳までの加入によって増える月5,000円超を足せば、70歳以降の年金の月額は25万円近くになるでしょう。

 

「へえ……月に24万円〜25万円もあれば、なんとか生活できそうです。働くことと繰下げ制度を組み合わせると、こんなに年金額が変わるんですね」

 

Aさんは感心したようにつぶやきました。

 

住宅ローンの繰上げ返済にはデメリットも 

住宅ローンの繰上げ返済を検討しているAさんですが、繰上げ返済は金利の節約が可能な一方で手元の資金が不足し、急な出費に備えられなくなる可能性もあります。これらのメリットとデメリットも検討したうえで決める必要があるでしょう。

 

また、老後の収支計画を立てる際にはAさんだけでなく、妻Bさんの年金収入や就労予定も含めて検討する必要があります。

 

住宅ローンの繰上げ返済のことはもう少し考えてみることとして、「まずは働けるだけ働いてみよう」と決意したAさんです。

 

年金制度が複雑であることもあり、Aさんのように、年金や老後の資金計画について悩んでいる人からの相談が増えています。

 

「ねんきん定期便」などを参照して不明点を確認しながら、老後に備えておくことをおすすめします。今回みてきたような年金の増やし方をあらかじめ知っておけば、選択肢が広がるでしょう。

 

 

井内 義典

株式会社よこはまライフプランニング代表取締役

特定社会保険労務士/CFPⓇ認定者

 

杉原 杏璃 氏登壇!
「THE GOLD ONLINE フェス 2025 @東京国際フォーラム」
(入場無料)今すぐ申し込む>>

 

注目のセミナー情報

【海外不動産】12月19日(木)開催
首都・プノンペンに続く有力な投資先
2025年「どこに」「何に」注目すべきか?
高度経済成長の波に乗る新・カンボジア不動産投資戦略

 

​​【国内不動産】12月21日(土)開催
「相続物件」に着目した「不動産投資」で
<利回り20%・売却益2,000万円>を実現!
超高齢化社会が生み出した「持て余し相続物件」の購入→売却益GETのスゴ技投資スキーム

 

​​【国内不動産】12月21日(土)開催
ちょっと待って、その中古アパート投資!
危険!節税や投資をアピールする「中古アパート投資」の落とし穴

 

【関連記事】

■税務調査官「出身はどちらですか?」の真意…税務調査で“やり手の調査官”が聞いてくる「3つの質問」【税理士が解説】

 

■月22万円もらえるはずが…65歳・元会社員夫婦「年金ルール」知らず、想定外の年金減額「何かの間違いでは?」

 

■「もはや無法地帯」2億円・港区の超高級タワマンで起きている異変…世帯年収2000万円の男性が〈豊洲タワマンからの転居〉を大後悔するワケ

 

■「NISAで1,300万円消えた…。」銀行員のアドバイスで、退職金運用を始めた“年金25万円の60代夫婦”…年金に上乗せでゆとりの老後のはずが、一転、破産危機【FPが解説】

 

■「銀行員の助言どおり、祖母から年100万円ずつ生前贈与を受けました」→税務調査官「これは贈与になりません」…否認されないための4つのポイント【税理士が解説】

 

※個人情報保護のため、登場人物の情報は一部変更しています。

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録
会員向けセミナーの一覧