損益分岐点は75歳…人生100年時代、付加年金はおトク
Aさんが3年間、国民年金保険料と付加年金を納付したときの受給額は次のとおりです。
妻Bさんの老齢厚生年金受給額92万円(月額7万6,000円)と合わせると、A夫妻は254万3,600円(月額21万1,966円)の年金受給が見込めます。
年金受給増額分6万3,600円(図中②)と、今後3年間納付する追加の保険料と、付加年金の合計62万5,680円との損益分岐点は、Aさんが75歳になるころです。つまり、Aさんが75歳より長く生きるのであれば、未納期間の保険料と付加年金を納付したほうがおトクということです。
付加年金について知らなかったというAさんは、「月たった400円で将来の年金を増やせるなんて……。こんな“錬金術”みたいな方法があるんですね!」と喜んでくれました。
なお、この納付分は、確定申告の際に社会保険料控除の対象となります。
「年金繰下げ受給」+「事業継続」でさらに増やせる
②Bさんの年金を70歳から受給に繰り下げる
また、Bさんの年金受給開始を65歳からではなく、75歳0ヵ月までの任意のタイミングまで繰り下げる(=受給を遅らせる)ことで、ひと月あたり0.7%増額した年金を受け取ることもできます。
仮に年金受給を70歳からとすると、増額率は42%で、受給額は130万6,400円(月額10万8,866円)と、毎月3万2,866円増えます。なお、Aさんが事業を続けている限り、Bさんの年金受給を繰り下げても家計支出に問題はなく、貯蓄の減少を防ぐ効果も見込めます。
なお、この年金繰下げ受給は、老齢基礎年金と老齢厚生年金を同時に繰り下げることも、片方だけ繰り下げることもできます。また、老齢基礎年金とともに付加年金も繰り下げれば、付加年金の分も増額した年金を受け取ることができるのです。