自分の棚卸しをして、情報を整理することが大切
エグゼクティブ・サマリーには、自分が経験してきたこと、実績を挙げたこと、苦労したエピソード、その時どういう風に現実に向き合い、どのようにピンチを乗り越えて結果に結びつけたか、そこからどういう風に学んだか、などをまとめていきます。
その上で、これまでの経験と実績をベースに、今は経験がないけれども、こういう面で過去の経験を生かすことができるだろうから、未経験ではあるがこういうことにチャレンジしたい、とアピールします。これは仮説でかまいません。この段階で正解、不正解まで気にすることはないのです。
さらに、こういう状況に置かれたときに自分は一番結果を出しやすい、こういう環境下にあるとこういう働きができるなど、血のかよったサマリーが書けるようになると、読み手に大きなインパクトを与えることができます。そうすると書類の通過率も上がりますし、面接をするときに企業側もかなり期待値を持って出てきてくれる可能性があるなど、いいことずくめになることが多いでしょう。
実際、サマリーに書く内容は、100人の候補者がいても95人はほとんど満足に答えられません。出てくるのは「そのような観点で考えたこともありませんでした」、「自分自身の答えなのに答えられなくて情けないです」といった返答がほとんどです。そこで30分ほどヒアリングをしてサマリーを文書で渡してみると、候補者は喜びしっかりメモを取ったりしています。
このように、面接では自分自身のことを客観的に把握できている人は非常に少ないという現実があります。しかし、日本の大企業の数は法人総数の1%にも満たないというのは、よく知られた話です。このコラムの読者も、中小企業に在籍している方が多いと思われます。そうなると、業務や経歴の羅列で相手に成功期待感を与えられるのは少数派だと思います。
だからこそ、エグゼクティブ・サマリーをしっかりまとめ、自分自身の棚卸しをして情報を整理することをおすすめします。生きた職務経歴書を作成するには、以上に述べたようなスキルが必要だと思います。
福留 拓人
東京エグゼクティブ・サーチ株式会社
代表取締役社長