金融販売の世界で「確実に儲かりますよ」はご法度
「確実に儲かりますよ」と言うと、金融販売の世界では違法行為になるだろう。金融商品取引法では、不確実なことを断定的に言って勧誘をするのは禁止行為だからだ。
もちろん「確実に儲かる資産運用」があるとは言えないが、この記事では資産運用がほぼ「確実に儲かる」ことを前提として成り立っている世界もあることを紹介したい。それは「機関投資家」の世界だ。
「機関投資家」にも色々あるが、ここではまず「年金基金」を取り上げる。
年金は、長期間の積立により集められたお金を、数十年後に一定の利回りをつけてお返しするという仕組みだ(「確定給付型年金」の場合)。つまり運用の成果(利回り)を約束しており、その結果支払う年金の額が決まっている。もし運用の結果約束した利回りが得られなければ、その差額は年金基金側(企業年金の場合企業)が負担するという仕組みなのだ。
何故、年金基金はこのようなリスクを取ることができるのだろうか? それは、「資産運用がほぼ確実に儲かるだろう」と見込んでいるからだ。これは一見おかしいことを言っているようだが、金利が高かった時代を考えてみると良い。
たとえば30年の国債の利回りが5%を超えている場合、その国債に投資すれば、30年間5%の利回りがほぼ確実に得られることになる。30年後に支払う年金が約束する利回りを5%未満にすれば、年金としての約束を実現できるだろう。
つまり、リスクのほぼ無い(国債のような)投資による利回りがある程度高ければ、「資産運用がほぼ確実に儲かる」ことを前提にできるのである。実は多くの機関投資家のビジネス(保険や銀行など)は、このような前提の上に成り立っているのだ。
しかし、近年の日本のように金利がほぼ無くなってしまうと、上記のような前提が難しくなってしまう。それでも資産運用の世界では、世界中のあらゆる有望な投資先に“分散”し、“長期で”運用することにより、全体で得られる利回りを予想し、それを“期待”する。もっと言うと“予定”するという考え方を基本としている。
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