ゴールデン・チェンジを生むインバウンドの復活と再成長
ゴールデン・チェンジ(日本経済の上昇へ向けた転換点)を生む起爆材、「金の卵」の一つがインバウンド(訪日外国人観光客)です。新型コロナウイルス感染症による厳しい外出制限が緩和され、全国各地の観光地に外国人旅行客が復活してきています。
この間、私が群馬県の四万(しま)温泉に週末に旅行しようと思って旅館に問い合わせたら、「予約はできますが、台湾から団体客が大勢来ているのでうるさいかもしれませんよ」と言われてしまいました。どこの観光地でも、インバウンドの取り込みに躍起な様子がうかがえます。
日本にとって、インバウンドはいくつもの理由で今後の経済成長の大きな牽引車となります。まず当然ですが、コロナからの復活が見込めることです。
他の先進国に比べて、行動規制の緩和がやや遅れた日本では、2022年までの3年間、訪日外国人旅行者数が大きく落ち込んでいました【図表1】。
これが足元では、急速に回復してきています。日本政府観光局(JNTO)の集計では、2023年10月時点での訪日外客数(推計値)は251万人で、コロナ前の2019年の同月(249万人)をついに上回りました。
シンガポール(前年同月比31.4%増)やインドネシア(同29.1%増)をはじめとした東南アジア、あるいはアメリカ(同38.2%増)やカナダ(同37.3%増)を含む米州(南北アメリカ大陸)などからの旅行者数が大きく増加していることが今回の押し上げ要因となりました。
また、集計対象の全23市場のうち14市場(韓国、台湾、シンガポール、インドネシア、フィリピン、ベトナム、インド、オーストラリア、アメリカ、カナダ、メキシコ、ドイツ、イタリア、スペイン)において10月としては過去最高を記録。カナダ、メキシコ、ドイツは単月で過去最高を更新しています。