今回は、海外のAirbnbトラブル事例と「ホスト保証」の概要を見ていきます。※本連載は、Airbnb総合研究会代表、阿部ヨシカズ氏の著書『インターネット民泊仲介サービスAirbnb入門ガイド』(ソシム)の中から一部を抜粋し、Airbnbを始める際に知っておきたい法律面・契約面のポイントや、想定されるトラブルの解決法などを紹介します。

向かいの部屋まで及んだ水漏れトラブル

Airbnbは、日本に先行して世界で急速に普及していますので、トラブルも世界で発生しています。ゲストが違法行為を行った場合、ゲストが罪に問われるのは当然ですが、国によってはホストにも責任が及ぶ場合も考えられます。

 

ここに紹介する海外のトラブル事例は、私が体験したものではありませんが、今後日本でも同様なトラブルが発生する可能性もゼロではありませんので、海外では過去にこのようなトラブルが発生したという参考にしてください。

 

■ゲストが詰まらせたトイレのせいで1万ドルの賠償

ロサンジェルス在住のAmanda Wongさんは、真夜中、ゲストからトイレが詰まって水が漏れ出したという連絡を受けました。しかし、たいした状況ではないと聞いたので、翌朝になるのを待って、配管工とハウスクリーニング会社を呼びました。配管工が修理すると、ゲストが生理パッドをトイレに流したことが詰まった原因だと判明しました。

 

ホストの部屋は、日本でいうマンションの一室でした。真夜中に彼女の部屋から流れ出た水は廊下を水浸しにしましたが、ハウスクリーニング会社によってきれいに清掃されたので、この問題は一件落着だと考えていました。

 

問題を引き起こしたゲストはチェックアウトし、その後も別のゲストが問題なく部屋を利用しました。

 

そして、水漏れが発生した10日後に、彼女は向かいの部屋の住民から、水が部屋に侵入して木の床が大きな損害を受けたことを伝えるメールを受け取りました。向かいの住民からの請求とハウスクリーニング会社からの請求を合わせると1万ドルを超えました。

Airbnbの保証は「ホストの部屋の中」の損害が対象

彼女は、Airbnbのホスト保証の適用を申請しましたが、Airbnbに認められたのは、トイレの配管修理費78ドルだけでした。Airbnbのホスト保証は、ホストの部屋の中で発生した損害だけが対象になります。今回の場合、マンションの共有部分の床の清掃費や、向かいの住民の部屋の床の修繕費などは、保証の対象にならないのです。

 

Airbnbは最大1億円のホスト保証を提供していますが、このトラブルは、ホスト保証だけではリスクをすべてカバーできるわけではないという教訓を残してくれたといえそうです。

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    本連載は、2016年1月12日刊行の書籍『インターネット民泊仲介サービスAirbnb入門ガイド』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

    インターネット民泊仲介サービスAirbnb入門ガイド

    インターネット民泊仲介サービスAirbnb入門ガイド

    阿部 ヨシカズ

    ソシム

    Airbnb(エアビーアンドビー)は主に海外からの旅行客に対し民泊の仲介を行うサービスで、日本でも急速に利用者を伸ばしています。 本書では、Airbnbしくみと現状の使われ方、副業としての可能性などのほか、旅館業法などの法…

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