アラブ諸国と日本で異なる「トイレの構造」
アラブ人ゲストが宿泊した際に、トイレ内が水浸しになるというトラブルが発生しました。ゲストに聞いたところ、アラブ諸国ではトイレの構造が風呂場のようになっていて、日本のトイレの使い方がわからず、自国のトイレと同じように使ったら水浸しになってしまったとのことでした。ユニットバスなら問題はありませんが、トイレが独立している部屋では、トイレから溢れた水が部屋の中まで漏れ出す可能性があります。
今回のケースでは、大事に至る前に発覚したため、口頭で日本のトイレの正しい使い方を説明して事なきを得ました。
国民性の違いによって、生活様式や設備の使い方が異なるという典型例です。ゲストの国籍が多彩になるにつれて、このようなトラブルも増える可能性があります。
使い方を説明した「貼り紙」を活用してトラブル予防
今回と同様のケースだけに対応するのであれば、アラブ人はゲスト全体の数%ですので、口頭で説明することで対応できるでしょう。しかし、トイレをできるだけきれいに使ってもらうためには、部屋のトイレの使い方を事前に伝えたり、使い方を説明する貼り紙を設置するといいでしょう。
その際には、京都市が公衆トイレの使い方を外国人旅行者に啓蒙する目的で制作したステッカーが参考になります(図表1)。
国によっては、水に溶けるトイレットペーパーのコストが高いため、使用済みのトイレットペーパーは流さずにゴミ箱に捨てることが当たり前と思っている人もいます。正しいトイレの使い方を理解してもらうためにも、貼り紙は設置したほうがいいでしょう。
今回は、たまたまアラブ人の習慣の違いがトラブルにつながりました。世界にはさまざまな習慣や価値観を持った人がいます。すべての国について事前に情報を調べることは難しいでしょうが、ホストが集まるコミュニティに参加して、このような体験談をホストの間で共有すると、お互いの経験が活用できます。
【図表1 京都市の啓発ステッカー(洋式トイレ)】
【図表2 トラブル回避のポイント】