長年連れ添った配偶者が先に亡くなってしまったら、老後はひとり暮らしになります。高齢になってからのひとり暮らしはなにかと大変。そんなとき、バリアフリーが施され、医療や介護の体制が整っている「老人ホーム」への入居は有力な選択肢のひとつとなるでしょう。ただ心配なのは、その費用。いったいいくらかかるのか、誰が負担するのか……。本記事では、土井さん(仮名/82歳)の事例とともに老人ホーム費用の注意点について、FP事務所MoneySmith代表の吉野裕一氏が解説します。
年金月17万円の80代父「お金のことは心配ない」と笑顔で入所も…温厚な50代長女が激高した“老人ホーム請求額”【FPが解説】 (※写真はイメージです/PIXTA)

住居型有料老人ホームの注意点

土井さんは、資産がある程度ある状態だったこともあり、お金の使い方に無頓着になったことも考えられます。

 

住居型有料老人ホームなど、基本料金は明確になっていますが、追加のサービスについては、実際に利用したときに、金額が見えてくることもあります。

 

入所前や入所時に、追加のサービスをどれくらい使ったら、どれくらいの料金になるという目安を付けて、家族で利用頻度を考えておくことも必要かもしれません。

 

また、家族が訪問したときなどは、必要なものを買っていくことや買い物や散歩の付き合いを行うなど、サービスを使わずに身内で賄うことも考えておくと節約につながります。

 

介護が必要になってくると、今度は介護保険の適用となるサービスもあることなどが考えられますが、今回のように要介護認定や要支援認定がされない場合は、負担が増えることも考えられます。介護保険サービスを利用した際に、自己負担の上限を越えた場合は、市区町村に申請することで「高額開度サービス費」や「高額医療・高額介護合算制度」から超えた金額の還付を受けられる制度もあります。積極的に利用していくとよいでしょう。

 

また、有料老人ホームも費用については施設によってばらつきがあります。追加サービスも含めた費用を考えて入所先を決めることも考えておきたいですね。
 

 

吉野 裕一

FP事務所MoneySmith

代表