「老後は安泰」と思っていた家庭にも、いざセカンドライフに差し掛かると思いもよらぬ破産リスクが待ち受けている可能性があります。本記事では山下さん(仮名)の事例とともに、現実に起こり得る「老後破産のリスク」について、FP事務所MoneySmith代表の吉野裕一氏が解説します。
「2,600万円貯めたから安泰」年収1,000万円だった60歳定年の元サラリーマン、余裕の畑いじりも束の間…5年後、“まさかの年金受給額”に絶望。長い老後の〈悲惨な末路〉【FPが解説】 (※写真はイメージです/PIXTA)

5年前の目算

会社員として長年大企業を勤め上げた山下さん(仮名/当時60歳)には3歳年下の妻と、すでに独立し家庭を持っている長男(当時32歳)と、嫁いでいった長女(当時29歳)がいます。長男家族には孫2人がいて、長女家族にも昨年孫が誕生し、豊富な経済力と仲睦まじい家族を周りからも羨まれて暮らしていました。

 

最近は人生100年時代といわれ、70歳まで働くという意見を聞くことも増えましたが、山下さんは、現役時代の年収も高く、すでに子どもは独立していたこともあり、60歳で退職して65歳から年金を受け取れば大丈夫だと考えていました。

 

山下さんの資産状況

子ども2人が大学を卒業するまでは、それまでの貯蓄を取り崩していたことで残高も減っていましたが、それでも700万円の貯蓄をキープすることができていました。長女が大学を出たのは、山下さんが58歳のとき。夫婦2人となったことで支出が減り、毎月の貯蓄額も増やすことができました。退職金として1,500万円受け取れ、60歳で定年退職をしたときには2,600万円の貯蓄があったのです。

 

山下さんの妻との出会いは、大学生時代のアルバイト。山下さんが大学を出て、就職後も付き合いが続き、27歳で結婚をしたそうです。妻は、大学を出るころには結婚を決めていたので就職はせず、そのまま同じ場所でアルバイトを2年間続けたため、厚生年金には加入したことがありませんでした。

 

「ねんきん定期便」として35歳と45歳、59歳以外の毎年誕生月にはハガキで、35歳と45歳と59歳のときには、封書で詳しい内容が送られてきていたのですが、山下さんは、内容を確認することもなく捨ててしまっていました。

 

「これまでお金に大きく苦労することもなかったため、年収が高かった自分は年金額も人より多くもらえるだろう。なにより2,600万円貯めたから老後は安泰だ」そう思っていました。