コロナを機に仕事に疑問を持った大手企業サラリーマン
現在、44歳の矢島さん(仮名)は、私立大学を卒業後、従業員1,000人以上の都内大手企業に就職をしました。入社当時から真面目に働き、順調に仕事を熟していました。大きな案件を任されるなど、自信もついてきた30代のころには、結婚をして2児の父となりました。
40代に差し掛かったころ、新型コロナウィルスの感染が世界中に拡大し、働き方が変化した企業も増え、大多数の企業に合わせるかたちで矢島さんの会社でもリモートワーク体制が整えられました。これにより、矢島さんも会社員人生20年で初めて「出社せずに働く」というスタイルを体験することに。最初は不安を感じていたリモートワークでしたが、徐々に慣れていき、わざわざ満員電車に毎朝揺られながら出社しなくても、仕事は自宅に居ながらでもできることを実感しました。さらに、出社していたころよりも、時間にゆとりが出てきたため、家族とともに夕食の時間を過ごせる幸せを噛みしめました。
そんなタイミングで、インターネットを見ていると、「自分にはもっとやりがいのある仕事がほかにもあるのではないか」と思い始めた矢島さん。コロナの感染拡大も落ち着いてきて、以前のように出社を前提とした勤務を命じられると、また家族と過ごす時間や自分自身の時間が少なくなってきてしまいました。また、承認のためだけのハンコ業務や、新型コロナウイルスの流行を機に多少なりとも進んだ業務のデジタル化を上層部が戻そうという動きをするなど、気になることが増えていきます。
コロナ禍前にマイホームを購入し、毎月8万円のローンがあります。転職になかなか踏ん切りがつかなかったのですが、リモートワークからコロナ禍前の働き方に戻ったことが、転職へのきっかけに。この時点で、42歳。月収は56万円で、これにボーナスが加わり、年収は880万円ほどでした。転職が当たり前の時代となったこともあり、大企業の肩書があるし、現職でそこそこ責任のある立場を任されている自信から、自分は大丈夫だと思いました。