家族や親族が銀行へ「口座名義人が亡くなったこと」を連絡すると、口座はすぐに凍結されます。その後、預金を引き出すには所定の手続きが必要なのですが、ルールを知らないといざというときに慌ててしまうかもしれません。本記事では、相続専門の公認会計士・税理士として活躍する石倉英樹氏が、著書『税金のことが全然わかっていないド素人ですが、相続税って結局どうすればいいのか教えてください!』(すばる舎)から、亡くなった人の銀行口座の手続きについて詳しく解説します。

凍結された銀行口座からお金を引き出したい場合は?

亡くなった人の預金から葬儀代などの費用を賄おうと考えていても、銀行に口座名義人が亡くなったことを伝えると、口座が凍結されてしまいます。また、遺産分割協議中の場合は基本的に口座の相続手続きも行えないので、口座からお金を引き出せず、家族が困ることもあります。

 

このようなときは、「遺産分割前の相続預金の払戻し制度」を利用しましょう。この制度を利用すると、亡くなった人の口座から一定額のお金を引き出すことができます。

 

「遺産分割前の相続預金の払戻し制度」には2つの制度がある

「遺産分割前の相続預金の払戻し制度」には、2つの制度があります。

 

1つ目は、法定相続人であれば、銀行から1人で亡くなった人の口座から払い戻しが受けられる制度です。この制度は、相続人全員の同意を受ける必要はありません。ただし、各銀行からの払い戻しの上限は150万円です。亡くなった人が同一銀行の複数の支店に口座を持っていた場合も、1つの銀行につき上限は150万円です。

 

1人で払い戻しができる額は、次の計算式で算定します。

 

[図表4]

 

2つ目は、家庭裁判所の判断により払い戻しができる制度です。この制度を利用する場合は、家庭裁判所に遺産分割の審判または調停の申し立てを行います。このとき、裁判所が払い戻しの必要性を認めた場合には、払い戻しが受けられます。

 

1人で払い戻しができる額=家庭裁判所が払い戻しを認めた金額

 

この2つの払戻し制度を利用する場合、主に次の書類が必要になります。利用の際は、亡くなった人の口座がある銀行に確認してから、必要書類を銀行へ提出しましょう。

 

[図表5]
 

なお、これらの制度を利用した場合、払い戻し分を遺産分割協議や相続税の申告の際に忘れないように注意しましょう。

 

イラスト ©中山成子

 

 

石倉 英樹

相続専門の公認会計士/税理士 兼 社会人落語家

 

※本記事は『税金のことが全然わかっていないド素人ですが、相続税って結局どうすればいいのか教えてください!』(すばる舎)の一部を抜粋し、THE GOLD ONLINE編集部が本文を一部改変しております。

 

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