(※写真はイメージです/PIXTA)

バリュー投資とは、実際の価値よりも割安な株を購入し、価値が戻ったときを狙って売却し利益を得る投資手法のこと。伝説の投資家ウォーレン・バフェットもバリュー投資を信条としています。本記事では、みずほ証券チーフ株式ストラテジストの菊地正俊氏が、著書『低PBR株の逆襲』(日本実業出版社)から、個人投資家が銘柄選択する際のヒントをご紹介します。

バリュー株に投資する主な「日本株投信」をチェック

個人投資家は自身で割安な個別銘柄に投資することも可能ですが、銘柄選択に自信や時間がない投資家は公募投信やETFを購入するのが選択肢になるでしょう。

 

日本のバリュータイプの公募投信は純資産が小さい投信が多いのですが、同じ戦略で年金や海外向けに提供されて、公募投信以上に大きい純資産を運用しているケースが少なくありません。

 

投信の上位組入銘柄を見て、自分の銘柄選択の感覚に合うかをチェックするのも、投信を選ぶひとつの手法かもしれません。

 

野村アセットマネジメントの「ストラテジック・バリュー・オープン」(愛称:真価論)は、資産・利益等に比較して株価が割安と判断され、今後の株価上昇が期待できる銘柄を厳選します。

 

2023年9月末時点の純資産は38億円で、上位組入銘柄は東京エレクトロン、三菱UFJFG、NTTでした。同じ野村アセットマネジメントの「野村日本割安低位株オープン」(2023年9月末の運用資産294億円)は209銘柄も保有していますが、

 

月次報告書に2023年9月末時点のファンドの実績PBRが0.6倍とTOPIXの1.3倍の半分以下で、予想PERも9.1倍とTOPIXの15.0倍の約6割であると記載しています。この投信の上位組入銘柄は日本製鉄、日本郵船、三菱ケミカルグループでした。

 

大和アセットマネジメントの「ダイワ・バリュー株・オープン(愛称:底力)」は設定が2000年2月という20年以上の歴史がある投信です。公募投信の純資産は140億円ですが、DC(企業型確定拠出年金)用は817億円あります。

 

PER、PBR等の指標または株価水準からみて割安と判断される銘柄のうち、今後株価の上昇が期待される銘柄に投資するとしており、2023年9月末時点の上位組入銘柄はトヨタ自動車、三菱UFJFG、日立製作所でした。

 

三井住友DSアセットマネジメントの「三井住友DS日本バリュー株ファンド」(2023年9月末の運用資産215億円、組入銘柄数102)の実績PBRは1.2倍、予想PERは12.9倍と市場平均よりは低いのですが、「野村日本割安低位株オープン」よりは高くなっています。

 

上位組入銘柄は三菱UFJFG、トヨタ自動車、豊田自動織機でした。三井住友DSアセットマネジメントで日本株アクティブ投信の純資産が最も大きいのは、「トヨタ自動車/トヨタグループ株式ファンド」の1,587億円です。

 

バリュー株投信とは謳っていませんが、割安な自動車関連株に投資するので、実質的にはバリュー株投信といえます。

 

2023年8月末時点の上位組入銘柄はトヨタ自動車、デンソー、豊田自動織機でしたが、いずれも9月に上場来高値を更新しました。2003年11月の設定以来の騰落率は+427%と、TOPIXの+128%の3倍以上のパフォーマンスになっています。

 

 

菊地正俊
みずほ証券エクイティ調査部チーフ株式ストラテジスト

 

※本記事は『低PBR株の逆襲』(日本実業出版社)の一部を抜粋し、THE GOLD ONLINE編集部が本文を一部改変しております。

 

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