「代わりはいくらでもいる」時代は終焉を迎えている
人集めが簡単だったデフレの時代が終わり、人の確保がむずかしいインフレの時代が始まったのですから、経営者は従来よりも、もっと人を大切に扱わなければなりません。
これまでのように代わりとなる人はいくらでも集められる、という時代ではないのです。この意味では新興企業の競争はよりむずかしいものになるはずです。これまでは賃金が毎年上がる世界など誰も想像しませんでしたから、それこそここでも一獲千金狙いのベンチャー企業が魅力的に見えたはずです。
ですがこれからは、確実に賃金が増えていく企業への就職希望が増えてくるはずですから、どの企業も優秀な人材の確保に躍起になることでしょう。
消費者の行動が変化、高騰する材料費
「物価」が上がっていくのですから、消費者も生産者も行動の転換を迫られます。単純に考えれば、モノが集めにくいのですから、モノを大切に扱わなければなりません。これまでのようにまた買えばいい、という時代ではないのです。
頻繁に買い替えていてはコストが増すばかりですから、良いものをしっかり選んで長く使うという、商品の耐用年数が長期化する時代となるでしょう。
同時に企業側にしてみれば、これまでのように材料をいつでも安く集めることができる時代ではなくなりましたから、ある程度の在庫を確保しながら生産を続けていかねばならないという、経営戦略の転換が迫られています。
しかしこうしてあらためて考えてみれば、「金」、「人」、「モノ」を大切にするなんてことは至極当たり前の話のように思えてきます。
逆に言えば、これらを粗末に扱ってきたデフレの時代がおかしな時代であったわけです。
日本の潜在成長率を上昇させるには、中央銀行がカギとなる
とはいえ、人間の行動や社会の構造を変えるのには相当の時間とコストがかかるものです。それでもそこに「理」があり、そこから「利」が生まれるのであれば、人々はその時代についていくはずです。
このとき、大事な仕事をするのが、経済のかじ取りを行なう中央銀行です。
我が国の中央銀行である日本銀行が、市場と国民にしっかりと「理」を説き、市場と国民がそこに「利」を見つければ、最大の課題である日本の「0%前半にある潜在成長率」も、少しずつ上昇してくることになるでしょう(私は政府が主導する成長戦略ではなく、自然に生まれる潜在成長に期待しています)。
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