親から実家を相続した人には、大きく分けて「売る」「使う」「住む」「貸す」という4つの選択肢がありますが、どれを選び取るかの判断を下す上では「財産価値」という物差しで考えることが重要です。本稿では、三木章裕氏の著書『実家の「空き家」超有効活用術』(フォレスト出版)より一部を抜粋し、相続した実家を最大価値化させる方法について考えます。

親が遺した、思い出の詰まった実家をどうすればいいか

先日、筆者は講演後に突然、「先生なら私の親の家、どうしたらいいと思います?」と問いかけられました。

 

竹本さん(仮名)は、前日夜も、奥さんと2人で家族会議でした。竹本さんは、子供の頃からの思い出の詰まった実家を、できれば売らずに活用したいと考えていました。一方、奥さんは売却して、高校生と大学生の子供の学費に補填したいと主張しました。

 

確かに、今から子供たちの教育費に一番お金がかかる時期です。また、学資ローンでの破綻の話も耳にしますので、できれば、子供たちに余計な借金を背負わせたくないという思いもありました。そこで、空き家や古家を再生させて活用している先生の講演を聞いてから判断しようと、ここに来たとのことでした。

 

筆者は、竹本さんに「どうするかの考えはまとまりましたか?」と聞きました。

 

「いや〜、先生の話を聞くと、相続された物件を、高利回りで活用されている事例を見て、売らないで持っておきたい気持ちも出てきましたが、私の友人の税理士さんは売却をすすめるので余計に混乱しています」と言います。

 

そこで、「では、頭を整理するために、4つのパターンを考えてみましょう」と、竹本さんに質問しました。

 

「売ることは考えましたか?」

 

「使うことは考えました?」

 

「住むことは考えましたか?」

 

「貸すことは考えましたか?」

 

すると竹本さんは、こう話し始めました。

 

「売却」については、友達の税理士さん相談すると、1981(昭和56)年5月31日以前に建築されている家なので、売却にあたり、2027(令和9)年末までは、相続人でも譲渡所得の3000万円の特別控除の特例を受けることができるため、売ったほうがいい、との助言があったようです。

 

しかし、周辺も空き家が増えており、簡単に売れそうにない感じです。

 

竹本さんは続けます。

 

「実家なので、『家族で住んでみようか』とも考えましたが、実際、私の仕事や妻の仕事、子供たちの学校のことも考えると、ここに住むことは難しいだろうと思っています。何か自分たちで活用もできないかとも思いますが、私も妻も勤め人なので、この実家を利用して、事務所や店舗にすることはありません。住宅として賃貸するにしても、周辺にこれだけ空き家が増えて、住む人が減っている中で、借り手がつくかどうか、心配です」

 

こんなふうに考え出すと、いったいどこから取り掛かったらいいのか、皆目見当がつかず、考えがまとまらないどころか、問題を思い出すたびにストレスになってしまうと言います。

 

筆者は、「竹本さんがどう判断するかの優先順位がはっきりしていないので、どれも迷うために混乱してしまっているのです」とお伝えしました。

 

すると竹本さんは、筆者に「どう考えるかの優先順位ってあるんですか?」と怪訝な顔をされたので、少し整理しながら話をしました。せっかく親が残してくれた財産で、いっぱい思い出も詰まったお家でしょうが、ここは、「相続した人に財産価値としてどれだけ多く残るのか?」を考えればいいと思います。

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実家の「空き家」超有効活用術

実家の「空き家」超有効活用術

三木 章裕

フォレスト出版

【放置しているだけで、年間コスト50万円以上! 実家が「空き家」になったときの有効活用法】 人口減少社会にある日本において 本格化してきている「空き家」問題。 「自分には関係ない」 と思っていたら大間違いです…

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