定期積金を作らなくても「融資を受けられる」なら…
「定期積金を作ってください」
定期積金(つみきん)とは、積立期間を決めて毎月、掛金を払い込み、満期日にまとまった給付金を受け取る預金商品です。
銀行が「定期積金を作ってください」と言ってくるのは、次の2つの理由があります。
①融資の保全のため
新たな融資を行うにあたり、銀行が定期積金を作るよう言ってくることがあります。この場合、融資の審査で、定期積金を作成することを条件として融資を行うことになったものであることが多いです。
将来、返済できなくなったとき、残った融資を銀行が多く回収できるようにする取り組みを「保全」と言います。返済できなくなったときに定期積金の残高が多くあれば、銀行は融資と定期積金とを相殺(そうさい)できます。そこを考え、融資を行うにあたり定期積金を作成する条件がつけられることがあるのです。
なお、定期積金は満期が来たら給付金として受け取れますが、その際に銀行員が「定期積金の給付金で定期預金を作ってほしい」と言ってくることもあります。定期預金は普通預金や当座預金と違い、いつでも引き出せるものではありません。そのため銀行としては、融資を保全するためにその会社に定期預金を作ってもらうことは効果的です。定期積金の満期が来たとき、給付金を定期預金にしてほしいと銀行員が言ってくるのはこのような理由からです。
②毎月、企業に訪問する名目とするため
定期積金の掛け金を払い込む方法には、普通預金や当座預金からの振替、窓口での現金払い込み、営業係が企業に訪問しての集金、などの方法があります。集金の方法では毎月1回、営業係が企業に訪問します。定期積金の集金を銀行の営業係が企業へ定期的に訪問する名目とし、銀行員は訪問時に情報収集や融資などの提案を行います。
特に信用金庫では、定期積金の集金を行うことで企業に定期的に訪問できるようにしていることが多いです。そのため、多くの信用金庫では定期積金の作成件数や金額が営業目標の一つに含まれています。
* * * * *
銀行員が「定期積金を作ってください」と言ってきたとき、①の理由であれば、それが融資を行う条件であるかを聞いてみましょう。定期積金を作らなければ融資を受けられないのであれば、従うしかありません。
しかし、定期積金を作らなくても融資を受けられるのであれば、定期積金の作成を断ることができます。融資を受けている銀行で定期預金や定期積金を作ると、後に解約しようとすると抵抗にあうことが多いです。必要がないのにわざわざ作ることはありません。
②の理由であり、銀行との接点を持つために定期的に訪問してきてほしいのであれば、掛け金を少額として作ってもよいのではないでしょうか。
《ポイント》
銀行が定期積金を作るよう言ってきた理由を把握し、その理由によって作るかどうか判断する。
川北 英貴
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