売買契約と同時に支払われたので、土地代金の一部であると「誤認」した
5 請求人別口金の支払は、A社の会長と称されるKから本件売買契約の締結過程で求められ、その締結及び代金支払と同じ機会になされたことからすれば、請求人の代表者が、当該請求人別口金の支払を本件土地等の代金の支払に含まれると認識していたことは十分考えられ、交際費等に当たるものと認識していたと認めるに足る証拠はない。
6 そうすると、請求人が、請求人別口金により支払われた金員を本件土地等の売買代金として損金の額に算入したことについて、故意に事実をわい曲し、あるいは隠ぺい・脱漏したとまで認められない。
したがって、本件更正処分の基礎となった事実のうちには、国税通則法第68条第1項に規定する隠ぺい又は仮装に該当する事由はないと認めるのが相当である。
経理者のミスで、隠ぺいではないと判断された
〈判断(一部抜粋)〉
ロ 判断
(ロ)法令の適用
請求人別口金により支払われた〇〇は、上記(1)のロの(ロ)のFのとおり、交際費等に該当するが、
前記1の(4)のリの(ハ)のとおり、請求人の総勘定元帳には「〇〇」と記載され、「商品土地仕入高」勘定として損金の額に算入されており、〇〇は、当審判所に対して、本件売買契約の決済は1回でしており、総勘定元帳に「土地手付金」と記載したのは私が指示したものではなく、経理の者のミスである旨答述する。
この点、〇〇が請求人別口金により支払われた〇〇の経理処理にいかなる関与をしたか明らかではないが、
この〇〇の支払は、〇〇の会長と称される〇〇〇〇から本件売買契約の締結過程で求められ、その締結及び代金支払と同じ機会になされたことからすれば、
〇〇〇〇が当該〇〇を本件土地等の代金の支払に含まれるものと認識していたことは十分考えられ、交際費等に当たるものと認識していたと認めるに足りる証拠はない。(※下線筆者)
そうすると、請求人が、請求人別口金により支払われた〇〇を本件土地等の売買代金として損金の額に算入したことについて、故意に事実をわい曲し、あるいは隠ぺい・脱漏したとまでは認められない。
また、上記(1)のロの(ロ)のEの(A)のとおり、〇〇〇〇〇に相当する金額については、売上原価に過大計上されていないのであるから、故意に事実をわい曲し、あるいは隠ぺい・脱漏したとは認められない。
したがって、本件更正処分の基礎となった事実のうちには、通則法第68条第1項に規定する隠ぺい又は仮装に該当する事由はないと認めるのが相当である。
伊藤 俊一
税理士
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