税務調査官「かっこいい腕時計ですね」…年収700万円、55歳の“普通のサラリ-マン”に「多額の追徴税額」が課されたワケ【税理士が解説】

税務調査官「かっこいい腕時計ですね」…年収700万円、55歳の“普通のサラリ-マン”に「多額の追徴税額」が課されたワケ【税理士が解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

税務調査といえば、個人事業主や富裕層といった一部の人以外には無関係に聞こえるかもしれません。しかし、実際には誰もが税務調査の対象で、さらに「資産を持っている」ことに無自覚であるほど、税務調査官に狙われてしまいます。今回、都内の企業に勤めるAさん(55歳)の事例をもとに、多賀谷会計事務所の現役税理士・CFPの宮路幸人氏が「相続税申告時の落とし穴」を解説します。

税務調査の際は「雑談」に要注意

優秀な税務調査官ほど「雑談が上手い」

相続税の税務調査と聞くと、「なにを聞かれるのだろう」「どうやって答えればいいんだろう」「どんな怖い人が来るんだろう」と想像し緊張する人も多いでしょう。そこで、税務調査の流れについて簡単にお伝えします。

 

通常、税務調査は朝の10時ぐらいに調査官が2名でやってきます。そして調査が始まり、お昼を挟んで夕方の4時~5時ぐらいに終わることが多いです。おおむね1日で終わりますが、内容によっては2日行われることもあります。

 

調査といっても、朝10時に来ていきなり「あれを見せてください」などとは言いません。最初の1時間ぐらいは、亡くなった人の人となりや、経歴や趣味等についてのゆっくりとした雑談から始まることが多いです。

 

しかし、この「雑談」に注意が必要です。優秀な人ほど人当たりが柔らかく、聞き上手な調査官が多い印象です。

 

今回のケースでも、調査官がAさんのつけていた腕時計に着目し、「それ、かっこいい時計ですね」と話しかけたことから申告漏れが発覚しました。雑談に緊張しすぎる必要はもちろんありませんが、性格的におしゃべりな人は気をつけたほうがいいかもしれません。

 

申告漏れした財産については相続税の本税のほか、ペナルティとして「過少申告加算税」と「延滞税」が課されます。

 

また、故意に財産を仮想隠ぺいして申告した場合、35%~40%の「重加算税」という重いペナルティが課されることになります。今回のような申告漏れがあった場合、「故意に隠していたかどうか」というのが大きなポイントとなりますので、相続税の申告の際は漏れのないよう計上する必要があります。

 

Aさんは結局、追徴課税を支払うために、父のコレクションのなかから数本の高級腕時計を泣く泣く売却し、納付に充てることとしたそうです。

 

まとめ…相続した“お宝”に要注意

確定申告などで毎年所得税の申告をしている場合、税務署はおおよその財産を把握していますので、相続の際はなにか申告が漏れていないか、よく確認する必要があるでしょう。もし、テレビ番組『開運!なんでも鑑定団』に出すような“お宝”を保有している場合、その金銭的価値を見積もって必ず申告するようにしましょう。

 

また、今回のケースのように「形見だから」と申告が漏れた場合、あとで本税のほか各種加算税や延滞税なども課されることになってしまいます。

 

なお、最近ですと、被相続人がネットバンクやビットコインなどのデジタル資産を保有していて、相続人がそれを知らずに申告漏れするケースがあります。特に高齢者は、自己の財産の把握のためにも、あらかじめ保有財産の一覧表などを作成し、保管しておくとよいでしょう。

 

 

宮路 幸人

多賀谷会計事務所

税理士/CFP

 

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