給与水準が全国で一番高い東京。そんな大都会での暮らしを夢見て、毎年たくさんの若者が上京します。一方で家賃や物価の高さから「東京暮らしを続けていられない」と地元に戻るケースも。そこで待っているのは明るい未来……というわけでもなさそうです。みていきましょう。
東京じゃ暮らしていけない!「手取り21万円・30代サラリーマン」の悲鳴…地元に戻れば生活は楽になるが「結婚はムリ」の絶望未来 (※写真はイメージです/PIXTA)

家賃も物価も高い「東京は高い!」…地方のほうが生活はラク⁉

――地元に帰ることを決めた

 

そう話すのは東京で医療系事務の30代前半の男性。東京を離れることを決めたのは、給与が安くて東京での暮らしに疲れたから」。現在の給料は「同年代のちょうど真ん中くらい」だといいます。前出の厚生労働省の調査によると、30代前半の月収の中央値は28.2万円。手取りは月21.5万円程度でしょうか。

 

――東京じゃ暮らしていけない! 家賃も物価も高いし、いまの給料じゃキツイ

 

都会での暮らしに憧れ、東京で就職して10年。夢にみた煌びやかな生活は実現できず、転職で地元の岩手県に戻ります。しかし実家には戻らず、1人暮らしをする予定。給与はいまよりも少々下がるといいますが、家賃も物価も安い分、いまよりも生活は楽になるはずと男性。

 

総務省統計局『小売物価統計調査(2023年10月)』によると、東京都23区の家賃は、1畳あたり8,787円。20平米程度のワンルームであれば5.3万円ほどになる計算です。一方、転居先の盛岡市は、1畳あたり3,961円と、東京都23区の半分以下。確かに、家賃だけ見るとかなり生活は楽になりそうです

 

家計全体の支出は、東京と地方でどれほどの違いがあるのでしょうか。総務省『家計調査(家計収支編)』で、単身の勤労世帯の家計をみていくと、東京都含む関東地方における1人暮らしの1ヵ月の支出は平均19.6万円。一方、岩手県含む北海道・東北地方では平均15.8万円。4万円ほど安く、確かに多少給与が下がっても生活は楽になりそうです。

 

【1人暮らし「東京と岩手」1ヵ月の支出】

消費支出:158,584円/196,667円

(内訳)

食料:37,222円/42,264円

住居:21,423円/38,602円

光熱・水道:13,854円/10,821円

家具・家事用品:5,434円/5,099円

被服及び履物:4,470円/7,582円

保健医療:4,969円/8,298円

交通・通信:26,508円/22,249円

教養娯楽:15,713円/26,775円

その他の消費支出:28,990円/34,979円

 

※数値左より、北海道・東北地方/関東地方